2010年04月17日

「秀木の指」筋肉がほぐれたら、心の緊張や不安も解けてくる・・・ 天風録 八葉蓮華

 「指で圧(お)してみると、頸(くび)と肩の継目の少し背中へ寄つた局部が、石の様に凝つてゐた」。文学作品に「肩が凝る」という言葉が初めて登場したのは、夏目漱石の「門」だそうだ。医療史研究家の立川昭二さんの著書「からだの文化誌」に教えられた

 痛む肩を押してほしいと頼む妻。夫は額に汗をにじませつつ、指先に力を込める。だが満足に効いてくれない。近代の夫婦の機微を巧みに描いた小説の一節である。同じような体験をお持ちの方も多かろう

 指を酷使せず、手軽に肩凝りを解消できる。そんな道具が廿日市市から生まれた。長短の木をエの字形に組んだ「秀木(しゅうぼく)の指」。親指に見立てた短い部分を、首と肩の付け根に押し当ててもらう。肩をすくめて力む、緩める。繰り返すことで筋肉がリラックスするという

 アイデアの主は日本赤十字広島看護大の元教授松原秀樹さん。心身医学の取り組みが、地元の木工所とのコンビで形になった。「筋肉がほぐれたら、心の緊張や不安も解けてくる」。首や肩の凝りはストレスのバロメーターでもあるようだ

 「門」の発表からちょうど100年。肩凝りは腰痛と並び、日本人男女の自覚症状の1、2位を占める。木製の指で肩を押し合えば会話も弾む。どんな家族の小説が生まれるだろうか。

 天風録 中国新聞 2010年4月11日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:35| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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