心当たりの場所が次々に浮かぶのは、その子や家族の事情を知り尽くしているからこそ―。民俗学者の宮本常一はそう見立てた。古里の周防大島で聞き取った迷子捜しの逸話を、著書「忘れられた日本人」に書き留めている
生老病シの情報が口コミで地域に行き渡ったのはいつの時代までだったのだろう。広島市と隣り合う海田町は29年前、町民のお悔やみ情報を街頭スピーカーで流し始めた。同じ年の町基本計画に「都市化の進展で近隣生活の連帯感は失われてきた」との表現がある
時がたち、葬式の日取りを知らせるサービスに違和感を抱く住民が多くなってきた。「うるさい」「無意味」と煙たがられ、この春ついにお役御免に。住民の出入りが増え、地縁がさらに薄れたせいだろうか
顔の見えない相手に呼び掛ける街頭スピーカー。廿日市市は2年前から、徘徊(はいかい)で行方が分からないお年寄り捜しに使っている。まちぐるみで取り組む現代の迷子捜し。地域のつながりを編み直す「捜索隊」も生まれるかもしれない。
天風録 中国新聞 2010年4月6日
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