島の漁師が捕った旬のタイやシタビラメ、タコなどを開き、砂粒のような火山灰の中にすっぽり埋める。冷蔵庫で寝かせて2日間。水分を吸わせながら熟成を待つ。中国地方ではあまり見かけることのない製法だ。日や風に当てないので脂の変化が少なく、魚本来の滋味が凝縮するという
その灰は、はるばる600キロ離れた東京都の三宅島から運ばれてきたと知って驚いた。度重なる噴火によって大量に降り注いだ灰や石。「干物づくりに役立てられないか」。それを聞きつけ助け舟を出したのが、北木島の人たちだった
こちらは古くから「北木石」で知られる土地柄。石を加工したり火山灰の塊を細かく砕いたりするのはお手のものだ。とはいえ北木島にも灰干しのノウハウはない。地元の魚を使って試行錯誤を重ねながら、1年半かけて商品化にこぎ着けた
三宅島やほかの島でも、これを手本として事業に取り組む動きが広がっている。「厄介者」が取り持った離島の縁。誕生した特産品の味わいは、ことのほか深い。
天風録 中国新聞 2010年4月5日
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