あれから2年。製造した中国の工場で働いていた元臨時従業員が当局に捕らえられた。「正規の職員になれなかった」。給料や待遇に不満があり、腹いせで農薬を混入させたと言っているらしい。それが海を越え、日本で大騒ぎになると想像していただろうか
事件で「メタミドホス」という農薬の名を初めて知った。食の安全が取りざたされ、スーパーの棚から中国産食材が姿を消したこともあった。わが家でも随分気にしたのに、のど元過ぎれば忘れていたことにぎょっとする
どこで、どう海外とつながっているか分からないのが今の世の中だ。食料自給率は40%そこそこ。和食といっても、そばにしろ豆腐にしろ、外国産の原材料抜きには考えられない。なのに、その国の人たちがどんな暮らしをしているのか、あまり目を向けることもない
非正規労働者の待遇問題が「毒」になって混じったとすれば、身につまされる。デフレの日本社会で安さや便利さを支えているのは何だろう。とても「一件落着」とは思えない。
天風録 中国新聞 2010年3月28日
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