2010年04月07日

未来を信じてあきらめない。そうすれば羽ばたく日がきっと来る・・・ 天風録 八葉蓮華

 アゲハチョウの待ちに待った季節が巡ってきた。長い冬を耐えたさなぎの殻を破り、大きな羽を広げ始める。黒と黄のストライプに青が交じる美しい紋様。日本のチョウの代名詞といえようか

 懸命に羽を伸ばす1匹をミカン畑で見つけ、「頑張れ」と声をかけた幼い日を思い出す。何度も脱皮を繰り返しながら、魔法のように変化していくアゲハ。花を求めて、お気に入りの「空の道」を行き来するさまは、さながら通勤や通学のようだ

 就職したり進学したりする若者にとっても、きょうは「羽化」の日だろう。児童文学者の高丸もと子さんの詩にこんな一節がある。「だれもしらない音だけど/わたしの殻をやぶる音/今日からはじまる/何かいいこと」。きのうまでとは違う自分との出会い

 ただ、殻を破りたくても、やすやすとはできない時代でもある。広島県内では高卒者の1割、大卒の2割が、2月末までに就職先が決まらなかった。望む大学などに進めず、リベンジを誓っている受験生も多いに違いない

 アゲハの美しさの理由は何だろう。幼虫の時代にもりもり葉を食べてエネルギーを蓄える。そして、さなぎとなって閉じこもり、羽や鱗粉(りんぷん)をこつこつ用意する…。未来を信じてあきらめない。そうすれば羽ばたく日がきっと来る。

 天風録 中国新聞 2010年4月1日
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2010年04月06日

「できるところまで頑張る」覚悟を見せて踏ん張れるか・・・ 天風録 八葉蓮華

 満開の桜の下。「まだやるの?」と問いかける楽天の山崎武司選手に、大関の魁皇関がしみじみ語る。「やめようかなって思う時もあるんですけどね。できるところまで頑張りたいですね」

 缶コーヒーのテレビCMが流れている。41歳と37歳。数々の苦難を乗り越え、こつこつと努力を重ねて現役を続ける二人の姿は、見ていてすがすがしい。その魁皇関にうれしい知らせが届いた。幕内在位100場所の偉業に、総理大臣顕彰が贈られるという

 人は究極の状況を迎えると、オロオロするか、逆に開き直れるかの両極端に分かれる―。魁皇関が自伝でそんな「人間観」を披露している。4年前の春場所、7勝7敗で迎えた千秋楽の白鵬戦。引退の危機を脱する白星を呼び込んだのは、ジタバタしないと決めた開き直りだった

 顕彰を贈る側のこの人も、俵に足が掛かっている。在位半年を過ぎたばかりの鳩山由紀夫首相。今月中に米軍普天間基地の移設先の政府案を取りまとめると言ってきたのに、きのう「数日ずれることが何も大きな話ではない」と逃げを打った

 郵政改革法案をめぐるゴタゴタもしかり。これでは「まだやるの?」という声も聞こえてきそうだ。魁皇関のように「できるところまで頑張る」覚悟を見せて踏ん張れるか。

 天風録 中国新聞 2010年3月31日
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2010年04月05日

子どもの夢に力添え「宝探し」命にぎわう里山を後世に・・・ 天風録 八葉蓮華

 草っぱらに腹ばいで小学生がカメラを構える。その鼻先をカマキリが悠然と横切っていったのだろう。「どちらへお出かけ?」「ちょっとそこまで」。そんなやりとりが聞こえてきそうな写真集を広島県北広島町の雲月(うづつき)小が作った

 17人の全校児童が撮影と編集の二役を手分けして、1年がかりで仕上げたという。ロケ先は学校近くのなだらかな雲月山。何度も登り、四季折々の山野草や生き物の表情を240枚ほどのカラー写真に切り取った。題は「雲月のたから」と付けた

 写真説明にも、友達感覚で自然と向き合う子どものまなざしがにじむ。放牧中の牛と目が合った瞬間を収めた1枚は「ちゅうモーく」。盗掘を免れ、うつむき加減に花を開いたカキランには「友達が少なくなって大変だね」と添えている

 子どもの夢に力添えする公募事業で取り上げられ、出版にこぎ着けた。湯崎英彦知事の招きで県庁を訪れ「玄人顔負けの出来栄え」と褒められた。「宝探し」行脚を始めた知事には、児童らの眼力が頼もしかろう

 八幡湿原という生態系の宝庫を守り、雲月山に芽吹きを促す春の野焼きもよみがえらせた北広島町。命にぎわう里山を後世に残す生物多様性条例も定めた。古里を思う子どもや大人の心こそ、かけがえのない宝だ。

 天風録 中国新聞 2010年3月30日
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2010年04月04日

一人横綱を追う、ライ麦畑の国から角界を背負う偉丈夫・・・ 天風録 八葉蓮華

 力士が一人で土俵に上がり目に見えない稲の精霊を相手にする。一見、ユーモラスな動きだが真剣そのもの。見事、精霊が勝って豊作が約束される―。しまなみ海道に沿った大三島(今治市)の大山祇神社に伝わる一人相撲である

 神事に限らず、相撲と稲作には浅からぬ縁がありそうだ。例えば、稲わらを編んで勝負の場を限る土俵。畦(あぜ)に囲まれた水田を連想させなくもない。そういえば、力士のすり足も田んぼでの足運びに似ている。そんな所作は足腰の強さをはぐくんできた

 瑞穂(みずほ)の国のイメージが薄れてきたせいか、角界で日本人が振るわない。気を吐くのは大草原の国から来たモンゴル勢だ。遊牧民らしく、かの地の相撲に土俵はなく、押し出しもない。それでもルールの違いをものともしないパワーには舌を巻く

 バルト海に面したライ麦畑の国からも、角界を背負う偉丈夫が現れた。エストニア出身の把瑠都関だ。きのうの千秋楽も勝ち、大関昇進を決定づけた。腕っぷしがめっぽう強い巨体に似合わず、ちゃめっ気がある。一人横綱の白鵬関を追う存在になるか

 黒パンで育った把瑠都関も郷に入れば郷に従え。都内の小学校で毎日食べるご飯の量を聞かれ、「30杯くらいかな」と答えたという。稲の精霊が宿ったような強さに見える。

 天風録 中国新聞 2010年3月29日
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2010年04月03日

どこで、つながっているか分からないのが世の中・・・ 天風録 八葉蓮華

 ジューと食卓の鉄板に並べて焼く。ギョーザのニラやニンニクの食感が、いつからか家で手軽に楽しめるようになった。輸入冷凍食品のおかげだ。そんな日常を突然揺るがしたのが「中国製ギョーザ中毒事件」だった

 あれから2年。製造した中国の工場で働いていた元臨時従業員が当局に捕らえられた。「正規の職員になれなかった」。給料や待遇に不満があり、腹いせで農薬を混入させたと言っているらしい。それが海を越え、日本で大騒ぎになると想像していただろうか

 事件で「メタミドホス」という農薬の名を初めて知った。食の安全が取りざたされ、スーパーの棚から中国産食材が姿を消したこともあった。わが家でも随分気にしたのに、のど元過ぎれば忘れていたことにぎょっとする

 どこで、どう海外とつながっているか分からないのが今の世の中だ。食料自給率は40%そこそこ。和食といっても、そばにしろ豆腐にしろ、外国産の原材料抜きには考えられない。なのに、その国の人たちがどんな暮らしをしているのか、あまり目を向けることもない

 非正規労働者の待遇問題が「毒」になって混じったとすれば、身につまされる。デフレの日本社会で安さや便利さを支えているのは何だろう。とても「一件落着」とは思えない。

 天風録 中国新聞 2010年3月28日
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2010年04月02日

12年続けてBクラスに甘んじる古巣を引き受けた「野村」謙二郎監督・・・ 天風録 八葉蓮華

 プロ野球の監督で「野村」といえば、昨シーズンまでならぼやき節のご仁が浮かぶ。こちらはどんな節回しを聞かせてくれるだろうか。新顔の野村謙二郎監督が今夜の開幕ゲームで、赤ヘル軍団の采配(さいはい)を振る

 体形や年こそ随分違うが、優勝から遠ざかった球団を任された二人の立場は似ている。ノムさんはヤクルトや楽天を鍛え上げてきた。12年続けてBクラスに甘んじる古巣を引き受けた謙二郎監督にとって、格好のお手本に違いない

 カープの今季キャンプでも、どこかノムさん流の「弱者の戦法」が感じ取れる。「すきは見せるな、すきを突け」「何をやってくるか分からないと相手を揺さぶろう」。これまでの3倍という練習量のキャンプ。夜もビデオを使ってイメージトレーニングを重ねた

 オープン戦ではチーム打率が下から3番目なのに、平均得点は12球団でトップ。四球や足を絡め、カープ野球の復活かと思わせてくれる。「野球って、なかなか奥が深い」と主砲の栗原健太選手も目を開かされたという

 あくまで優勝。謙二郎マニフェストの金看板である。勝ちパターンの工程表をどう描くのか。下馬評はかまびすしいが、チームのまとまりはよい。ノムさんの野球訓には「要は、全員が勝とうぜという気になること」とある。

 天風録 中国新聞 2010年3月26日
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