3日前に98歳を迎えた映画監督の新藤兼人さんも現役ばりばりだ。こちらは目の前の仕事に打ち込んできた。金欠病の独立プロを率いて60年。浮沈がかかるたび、「裸の島」「午後の遺言状」といった力作で苦境をはね返してきた
そうした作品28本を集め、誕生祝いの上映会が東京・池袋で開かれている。上京の折にのぞくと、会場に作品ポスターが並んでいた。家庭内暴力やいじめ、生と性、老い…。生々しいテーマとがっぷり四つに組んできた仕事ぶりに圧倒される
トークショーで新藤さんは「近々、メガホンを取る」と宣言した。新作は戦争のむごさを撮る。戦友の形見を届けた先で、目の当たりにした家族の悲劇がテーマだ。生き残りの2等兵として使命感に突き動かされるのだろう
日野原さんの人生心得には、「誰かのために時間を使うようにすること」とある。「生きたいために仕事をする」のが新藤さん流だ。働き続けることの意味を身をもって教えてくれる先達たちである。
天風録 中国新聞 2010年4月25日
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