2010年03月31日

「究極のパッチワーク」使い込んできた襤褸(らんる)ボロ・・・ 天風録 八葉蓮華

 「究極のパッチワーク」に目がくぎ付けになった。268枚の端切れを縫い合わせてあるという布団地。使い古した布を継ぎはぎしたり当てたりした襤褸(らんる)(ボロ)だ。その一針一針に、どんな思いを込めたのだろう

 広島市に住む水野恵子さんのコレクションが来月4日まで、福山市の広島県立歴史博物館で展示されている。水道工事業を営んでいた父の義之さんが生前、仕事の傍ら各地を歩いて収集した襤褸など古布500点余りの一部だ

 大河ドラマ「龍馬伝」で、マズしい暮らしを送る岩崎弥太郎や家族が身にまとっている着物といえば、昔を知らない世代にもイメージが浮かぶだろうか。最近は、BOROとして欧米の染織工芸や現代美術ファンの視線も熱いというから驚かされる

 会場には当て布で補強された半纏(はんてん)やもんぺ、幼子が履いた足袋も並ぶ。農村の女性たちが布をいとおしみながら、何代にもわたって使い込んできた襤褸。向き合ううちに、作った人、使った人のぬくもりまで伝わってくるようだった

 水野さんによれば「豆三つ包めたら布は捨てるな」という言い伝えもあるそうだ。祖先がはぐくんできたエコ心の極みであろう。「陽炎(かげろう)に母の襤褸を吊(つ)る日曜」(沼尻巳津子)。遠い日の記憶もまた呼び覚ましてくれる。

 天風録 中国新聞 2010年3月25日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:41| 大阪 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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