「私たちの声は聞こえていますか」と米国の人たちはトヨタに問いたかったのだろう。アクセルが戻りにくい。ブレーキが一瞬利きにくい。なぜと問うてもきちんと答えてもらえず、それが大きな怒りとなり、ついには豊田章男社長が議会の公聴会に呼びつけられた
「会社の成長が早すぎて、立ち止まって考える余裕をなくしていた」と、社長は認めざるを得なかった。目指していたのは自動車の世界トップの座。全開のエンジン音に、小さな声はかき消されてしまったのだろう
「悪感情を一掃するには、会って直接話すのが一番いい」とはリンカーン大統領の言葉という。社長が米国に出向いて直に釈明することで、怒りは少しでも鎮まっただろうか。ただ国民感情の動向は、まだ見定めがたい
米国の調査会社がデータから割り出した法則がある。苦情を言う客も、きちんと対応をすればその8割が次も買ってくれる、という。敬遠したくなるような人が、実は潜在的な味方。「聴こえてくる声」を今後に生かして米国民の信頼を得られれば、立ち止まったことも悪くない。
天風録 中国新聞 2010年2月26日
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