南米チリの巨大地震で発生した津波がきのう午後、太平洋を越えて日本列島へ次々に押し寄せた。はるか1万7千キロ離れた地球の反対側から、ほぼ一昼夜。時速にすれば700キロ余りになる。ジェット旅客機に迫る驚くべきスピードだ
ちょうど50年前、同じチリを震源に日本を襲った大津波を思い出す。高さは最大8メートルに達し、三陸沿岸を中心にシ者・行方不明者は142人に上った。大きな被害になったのは、第1波が到着した後に警報を出すという気象庁のミスもあったとされる
その苦い教訓から、観測網が整えられた。今回は早いタイミングで警報・注意報が出された。インターネットや携帯など情報ネットワークの発達もある。半世紀前、テレビがある家庭は半数にも達していなかった
昭和の初め、科学者の寺田寅彦が災害を防ぐ方法を書いている。「人間がもう少し過去の記録を忘れないよう努力するより外はない」。今回は心配された被害はなかったが、住民の避難はスムーズだったようだ。記憶と情報のたまものでもあろう。
天風録 中国新聞 2010年3月1日
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