こちらの味はどうだろう。ガラス越しに見るのは、広島市の地下街に今月いっぱい展示されている「植物工場」だ。太陽の光も届かず、土もない。それでもトマトは青い実を付け始め、イチゴは甘そうに熟している
温度や養分などが完全にコントロールされている。太陽に代わるのは発光ダイオード(LED)電球だ。曇った日の日差しより弱いのに、植物が光合成しやすい波長にぴたりと合っているそうだ。LEDと野菜の相性はなかなか、とみえる
外でいくら長雨や日照りが続いても、青々とした野菜ができる。虫がつかないから農薬も要らない。未来型のエコ農業で、これなら狭い国土で自給率も上がる…と、国も一生懸命に後押ししようとしている
気温が0度近くまで下がると、葉に含まれる水分が凍らないように、糖分を増やす。それが冬野菜の自衛術だ。おじいちゃんのホウレンソウがおいしいのはそのためらしい。科学の光と、戸外の低温と。それぞれがもたらす味を比べる時代がくるのだろうか。
天風録 中国新聞 2010年1月27日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録