あえてそう言ってプロポーズしたのが、独立プロの若松孝二監督だ。受けたのは寺島しのぶさん。出来上がった「キャタピラー」はベルリン国際映画祭に招待され、もんぺ姿で元兵士の妻を演じた寺島さんは、最優秀女優賞に輝いた。日本人で35年ぶりの快挙だ
タイトルは「芋虫」という意味。戦場で両手足を失い、耳も聞こえなくなった元兵士が物言わぬ主役である。江戸川乱歩の原作を読むと「風呂敷に包まれたような物体」とやりとりする妻の葛藤(かっとう)が描かれる
「台本を読んで電気が走った」という女優。「今撮りたい気持ちが冷めないうちに」と、金策を後回しにしてメガホンをとった監督。低予算によるわずか12日間の撮影は、双方をスパークさせるに十分だったに違いない
およそもんぺとは縁のない華やかな歌舞伎界に生まれ育った寺島さん。俳優になってからは、己をむき出しにしてぶつかるような熱演で知られる。映画の公開は8月15日。今度は見る側が、体当たりで現される「戦争」を受け止める番だろう。
天風録 中国新聞 2010年2月23日
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