「寒といふ字に金石の響あり」と、高浜虚子が詠んでいる。大寒を中心としたほぼ1カ月の「寒の内」は年間で最も寒い。鋭く張り詰めたような冷気は確かに、たたけばキーンと音がするかのようだ
とはいえ低温の恵みもある。例えば腐らないとされる「寒の水」。酒やみそを仕込むにはもってこいだ。和紙もパリッと仕上がるのは寒漉(す)き。染め物を川にさらせば生地や色が引き締まり、材木を漬けておけば虫が付きにくくなるという
寒風の功徳もある。そうめんは寒ざらしによって風味を増す。サケやアユのうまみが引き出されるのは、寒干しならでは。寒さには、モノを鍛えることでその本質を磨き出す作用があるのか、とさえ思う
きのう会社更生法の申請に追い込まれた日本航空。国会で幹事長の土地購入疑惑が追及された民主党。北極の冷気に吹き付けられた気分だろう。ここで当事者が、寒風にこそ自らが鍛えられ、個性も研ぎ出される―と思えるかどうか。
天風録 中国新聞 2010年1月20日
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