2010年01月13日

デパートの屋上で遊ぶ子供たち「夢の国」が姿を消えていく・・・ 天風録 八葉蓮華

 作家の辻仁成さんに「屋上で遊ぶ子供たち」という詩がある。「どうして空の青さに/気づかない」「どうして空の美しさに/ひるまない」。でもデパートの屋上にいたら、そう言われても無理だったなと思う

 子どもにとっては「夢の国」だった。木馬やミニ機関車が回っている。モノレールも動いている。空を見上げるどころか、親にねだって珍しい乗り物を楽しむのに無我夢中だった。帰りはおもちゃ売り場に寄り、大きな食堂でお子様ランチ

 日本が高度成長の波に乗り始めたころの風景だったろう。どのデパートも競って遊具を整えた。しかし、さまざまな子どもの遊びが増えていき、そのうち忘れられていく。広島市の中心部で最後まで頑張っていたそごう広島店の遊園地も、あさって営業を終える

 一足早く「夢の国」が姿を消した東京・銀座のデパートは、跡を野菜や花の畑に替えた。近くのビル屋上で、市民グループがミツバチを飼う試みを始めている。ならば蜜(みつ)が吸える花を植えてお手伝いを―との粋な計らいである

 取れた野菜はカレーに入れたり、ビールのつまみに。屋上の緑は、エコ心も満たしてくれる。今は大人の夢を紡ぐ場になっているようだ。広島のデパートの屋上にまかれるのは、どんな夢の種だろう。

 天風録 中国新聞 2010年1月9日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:44| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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