子どもにとっては「夢の国」だった。木馬やミニ機関車が回っている。モノレールも動いている。空を見上げるどころか、親にねだって珍しい乗り物を楽しむのに無我夢中だった。帰りはおもちゃ売り場に寄り、大きな食堂でお子様ランチ
日本が高度成長の波に乗り始めたころの風景だったろう。どのデパートも競って遊具を整えた。しかし、さまざまな子どもの遊びが増えていき、そのうち忘れられていく。広島市の中心部で最後まで頑張っていたそごう広島店の遊園地も、あさって営業を終える
一足早く「夢の国」が姿を消した東京・銀座のデパートは、跡を野菜や花の畑に替えた。近くのビル屋上で、市民グループがミツバチを飼う試みを始めている。ならば蜜(みつ)が吸える花を植えてお手伝いを―との粋な計らいである
取れた野菜はカレーに入れたり、ビールのつまみに。屋上の緑は、エコ心も満たしてくれる。今は大人の夢を紡ぐ場になっているようだ。広島のデパートの屋上にまかれるのは、どんな夢の種だろう。
天風録 中国新聞 2010年1月9日
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