2010年01月08日

頭弁帖「書道の街」を目指す福山市にとってとびきりのお年玉・・・ 天風録 八葉蓮華

 大宰府の次官として赴任する途中の下関。藤原(ふじわらの)佐理(すけまさ)はふっと思い出したようだ。「あ、上司に転勤あいさつをしてこなかった」。急いで知人にとりなしを頼む手紙をことづける。1000年前の平安時代のことだ

 どうも大まかな人だったらしい。宮中の行事で使う矢を予定日までに届け損ねる。関白御殿で行われる書のパフォーマンスには遅刻する。歴史書「大鏡」には「懈怠(けたい)(なまける)し」と書かれる始末である

 そんな人が歴史に残ったのは、書の名手だったからだ。天皇即位後の儀式に使う屏風(びょうぶ)に和歌を書くという大役を3度も務める。小野道風らとともに「三蹟(さんせき)」と称され、下関からのわび状は、今や「離洛(りらく)帖(じょう)」と呼ばれて国宝に

 ところがそれ以外に残る真筆はわずか5点。そのうちの1点で、存在は知られていながらも一時所在不明になっていた「頭弁(とうのべん)帖」が所有者から福山市に寄贈されることになった。自在の筆運びの写真を見ながら、ここにたどり着くまでのドラマを感じる

 あるはずだったものが見つかったといえば、昨年の佐藤・ニクソン秘密文書。こちらは現代史の暗がりに光を当てた。佐理の書は、唐風から和風に移る平安文化の輝きを伝えてくれそうだ。「書道の街」を目指す福山市にとってとびきりのお年玉になった。

 天風録 中国新聞 2010年1月4日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:53| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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