どうも大まかな人だったらしい。宮中の行事で使う矢を予定日までに届け損ねる。関白御殿で行われる書のパフォーマンスには遅刻する。歴史書「大鏡」には「懈怠(けたい)(なまける)し」と書かれる始末である
そんな人が歴史に残ったのは、書の名手だったからだ。天皇即位後の儀式に使う屏風(びょうぶ)に和歌を書くという大役を3度も務める。小野道風らとともに「三蹟(さんせき)」と称され、下関からのわび状は、今や「離洛(りらく)帖(じょう)」と呼ばれて国宝に
ところがそれ以外に残る真筆はわずか5点。そのうちの1点で、存在は知られていながらも一時所在不明になっていた「頭弁(とうのべん)帖」が所有者から福山市に寄贈されることになった。自在の筆運びの写真を見ながら、ここにたどり着くまでのドラマを感じる
あるはずだったものが見つかったといえば、昨年の佐藤・ニクソン秘密文書。こちらは現代史の暗がりに光を当てた。佐理の書は、唐風から和風に移る平安文化の輝きを伝えてくれそうだ。「書道の街」を目指す福山市にとってとびきりのお年玉になった。
天風録 中国新聞 2010年1月4日
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