いつかはと思いつつ先延ばしにしてきた志。自分に言い訳しながら後回しにしてきたこと。それを見える形にして、今年こそはやるぞ、と大空に掲げてみる。名をなしてなお、風を背に己を鼓舞しようとする68歳の心意気が伝わる
とてもそこまでのエネルギーは…とつぶやく人もいよう。烈風にもまれて消耗した人には、むしろ石川啄木の知られた一首が胸に響くだろうか。「何となく、今年はよい事あるごとし。元日の朝、晴れて風無し」
20代半ばの啄木は、苦しい生活だった。病魔が体をむしばみ始め、せっかく得た仕事も休みがちになっていた。不如意の日々。それでも正月の穏やかさに喜びを感じる。ちょっとしたことに希望を見いだそうとする詩人の心の在りかを見る
年が改まる。それだけで心が新たになる。気分をリセットして「一年の計」を考える日だろう。猛(たけ)き虎のように目標の一点に向かって走ろうと念じる人もいよう。しかし時には、足元の小さな幸せを慈しむ歩き方も思い出してみたい。
天風録 中国新聞 2010年1月1日
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