ベートーベンの最後の交響曲。日本で歳末の風物詩となったのは、戦後すぐである。頑張って1年、また1年と復興していく自信と、曲の高揚感がマッチしたのかもしれない。ドイツ語の歌詞が分からずとも「参加する第九」は各地に広がった
本場欧州では特別な時の曲という。思い出すのは20年前の年末。ベルリンの壁崩壊を記念した演奏である。歓喜で紅潮した表情を映像で見た。「隔てられたものを結びつける」。そんな歌詞は、分断されていたドイツの人たちの心を突き動かしただろう
宇宙飛行士にも楽聖のファンは多いそうだ。第九の楽譜を持ち込んだ米スペースシャトルの乗員がいる。きのうロシアの宇宙船ソユーズで飛び立った野口聡一さんもボンの生家を訪ねている。宇宙ステーションなら90分で1周できる地球。人類を隔てるものは何もないように見えよう
かつて対立した米ロと日本の飛行士が相乗りするソユーズは「結びつける」象徴かもしれない。なお争いが絶えない地上に「フロイデ」の歌声を響かせることはできないだろうか。
天風録 中国新聞 2009年12月22日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録