2009年11月06日

「潮頭、箭よりも駛し」潮の流れを読む難しさは、いにしえから変わらない・・・ 天風録 八葉蓮華

 頼山陽が関門海峡に立ち寄ったのは200年も前だ。得意の漢詩で「潮頭、箭(や)よりも駛(はや)し」とうたった。潮の流れは矢よりも速い。その驚きは日々、ここを行き交う船乗りの実感でもあったろう

 瀬戸内海と外海をつなぐ玄関口は古来、危険と隣り合わせの難所。Sの字にうねる地形では、潮流が時を追って複雑に変わる。しかも最大時速は20キロというからマラソンランナー並みだ。暗礁や浅瀬もあちこちにあった

 少しでも通りやすく、と100年前から航路整備が始まった。だが今も難所には変わりない。おとといは護衛艦と韓国船が衝突した。接触や座礁が絶えない海峡でもめったにない大事故。闇の中で艦首が燃える映像に背筋が寒くなった人もいよう

 ちょうど壇の浦の合戦と同じ場所。事故の引き金は韓国船の「追い越し」のようだ。ただお互い正面にいると分かって避けられなかったのはなぜか。潮流は関係なかったか。源義経が潮の変化に乗じて平家を破った故事を思い出してしまう

 山陽はこう続けた。「一たび出ずれば是、玄洋(玄界灘)」。狭い海の道が世界に通じている。国際貿易の大型船が増え、外国人船員も多くなった。今は1日に1000隻が通る。それでも潮の流れを読む難しさは、いにしえから変わらない。

 天風録 中国新聞 2009年10月29日
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2009年11月05日

米軍普天間飛行場の移設先「公約」環境の変化の影響を真っ先に受けるサンゴ・・・ 天風録 八葉蓮華

 瀬戸内海のサンゴが危ない、と言うと驚く人がいるかもしれない。あまり知られていないが、山口県の周防大島町沖は「ニホンアワサンゴ」の国内最大の群生地だ。20〜30メートル四方に階段状になって広がっている

 先日、その一部がシんでいるのが見つかった。潜ってライトを当てるとグリーンに光るはずのサンゴが、しゃれこうべのような姿をさらしている。赤潮など、突然の環境異変が原因との見方があるが、はっきりしないだけに不気味だ

 サンゴといえば南の海のイメージがある。日本では沖縄だろう。ところがその沖縄本島でも、土木工事の影響などで海が濁り、大半のサンゴがシ滅しているという。わずかに残されたのが辺野古の沖合。米軍普天間飛行場の移設先として埋め立てが予定されている海である

 その計画を見直して基地は県外に移転する、としていたのが民主党だ。ところがその約束が揺れている。きのうは防衛相が、移設案はグアム移転なども含むので「公約と矛盾しない」と言い出す始末だ。いかにも軽い発言で、官房長官も注意を促した

 美しい海にしかすめず、環境の変化の影響を真っ先に受けるサンゴ。約束が守られなければ、こちらは原因が極めてはっきりした環境破壊の現場になってしまうだろう。

 天風録 中国新聞 2009年10月28日
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2009年11月04日

人は必要とされてこそ幸せ「出番」その場をつくる、あなたならできる・・・ 天風録 八葉蓮華

 50人いる社員のうち、知的ショウガイの人が7割を占める。社長は言う。「人は必要とされてこそ幸せ。その場をつくるのが企業」と。坂本光司著「日本でいちばん大切にしたい会社」が紹介している川崎市のチョークメーカーだ

 きっかけは50年前。仕事をしたいという女の子2人を、試みに受け入れた。懸命に、でも幸せそうにラベル張りをする姿。女性社員が心を動かされた。「雇ってあげてください。できないことは私たちがカバーします」

 悩んだ末に会社も決断した。時計の読めない子には砂時計で、というふうにその人に合わせて工程などを工夫し、困難を乗り越える。この工場を訪れた鳩山由紀夫首相が、所信表明の中で取り上げた。「出番」という言葉とともに

 これを任せる。あなたならできる。そう言われると、認められたと感じ、自分の存在感が満たされる。「出番はない」と思っていた人ほど元気になれる。そうした関係を張り巡らせて、社会のきずなを取り戻そうという首相の哲学が、この2文字ににじむ

 「米百俵」など故事来歴を引いた歴代首相と違って、自分の体験を織り込むのが鳩山流のようだ。演説の心をどう実現するか、国会の論戦はあすから。政権交代劇場の外にいた野党自民が「今度は出番」と待ち構えている。

 天風録 中国新聞 2009年10月27日
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2009年11月01日

大掃除「特別会計」母屋はおかゆをすすり、離れはすき焼きをむさぼる・・・ 天風録 八葉蓮華

 母屋はおかゆをすすり、離れはすき焼きをむさぼる―。母屋に当たる国の財布の「一般会計」が倹約しているのに、離れでは官僚や族議員が無駄遣い。そう例えられた「特別会計」の大掃除が始まった

 貿易再保険、特定国有財産整備…。全部で21の特別会計の中には聞いたことがない名前もある。誰からも文句を言われず、各省庁が好きに使えるところは「へそくり」そっくり。正味で約170兆円と「一般」のほぼ倍。これでは、どちらがへそくりか分からない

 長年、聖域扱いにされ、財務省もなかなか口を挟めなかった。おまけに、こっちの財布からあっちへと、金の流れも複雑に入り組んでいる。わざと中身を見えにくくしているのでは、と勘ぐりたくもなる

 へそくりといえば、徳川家康を思い出す。普段は麦飯を食べていたというケチケチぶり。金に困った大名に泣きつかれ、ポンと貸した。大名はそれから家康に忠節を尽くすようになったという。いざというとき、さっと使う。うまい生かし方だろう

 今や、母屋は火の車になっている。離れの風通しをよくしようとしたことが、かつても何度かあった。しかし官僚は、へそくりを握り締めて放さなかった。もとはといえば、国民のお金。おかゆさえ口にできなくなっては困る。

 天風録 中国新聞 2009年10月26日
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