2009年10月30日

時にさりげなく、時にストレートに、生まれた街を歌に込める・・・ 天風録 八葉蓮華

 広島市出身のロック歌手矢沢永吉さんにとって、古里は「いつか見返す」対象であり続けた。「給食費も払えなかった。上に行かなきゃ、と思った」。高校卒業後、ギターと5万円を持って東京行き夜行列車に飛び乗った。屈辱に別れを告げるように

 そんなエピソードからすれば、意外な映像だった。自身が監修した11月公開のドキュメンタリー映画「E.YAZAWA ROCK」の一場面。長いキャリアを振り返るコラージュで、原爆ドームが数秒間、大写しになった。生まれた街の暗喩(あんゆ)なのだろう

 映画で語っている。「地球環境がどうの、平和がどうの、音楽では言わない」。これまで激しいロックに乗せてきたのは、真夏や真冬を思わせる愛の歌だ。しかし「これからは春や秋の風も歌ってみたい」

 還暦を迎え、創作の幅を広げようとする音楽家の視野に、ヒロシマというテーマも入っているのか。熱い語りに時折のぞく広島弁のイントネーションに親しみを覚えつつ、想像が膨らむ

 広島で青春を過ごした吉田拓郎さんや奥田民生さんは、時にさりげなく、時にストレートに、この街を自作に織り込んでいる。「永ちゃん」が歌に込めるのは、怒りなのか、和解なのか、それとも…。遠からぬ日に聴きたい。

 天風録 中国新聞 2009年10月24日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:23| 大阪 | Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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