2009年10月29日

「見える化」自己責任論で片付かないことは、100年近くたった今も変わらない・・・ 天風録 八葉蓮華

「驚くべきは現時の文明国における多数人のビンボウである」。こんな書き出しで始まる河上肇「ビンボウ物語」。公刊されたのは大正年間の1917年だ。超大国だった英国のありさまを紹介している

 市場主義の元祖の国だ。一握りの大金持ちが富を占め、食べていけない多くの人たち。毎日働いても「賃銭が少ないためにビンボウ線以下に落ちている者」の情けなさ…。「格差」や「ワーキングプア」の世界である

 政府が初めて「ヒンコン率」を発表した。15・7%という数字は、7人に1人がヒンコンということだ。先進国の中では米国に次いでワースト2。「一億総中流」と言われていたのは、いつのことだったか。今の日本は既に「ビンボウ物語」の風景だ

 河上は、勤勉を勧める当時の歌を引いている。「身のほどをしりからげしてかせぎなばビンボウ神のつくひまもなし」。そして反論している。「いくら働いてもビンボウを免れぬ」のがこの時代の経済の仕組みなのだと。自己責任論で片付かないことは、100年近くたった今も変わらない

 では国は何を? まずヒンコン率を明らかにすることから、と研究者は訴えていた。自公政権は応えなかったが、民主党政権は格差の「見える化」に踏み切った。「政治のヒンコン」と言わせない覚悟がある、と見たい。

 天風録 中国新聞 2009年10月23日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:37| 大阪 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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