明治の初めまで、通信手段といえば民間の飛脚便だった。国営のネットワークを張り巡らし、郵便と名付けたのは前島密である。山間や海辺で局舎を見つけるとホッとする。長らくそんな存在だったが、時代は「官から民へ」。改革の本丸とあおられ、民営化にかじを切って2年になる
JP(ジャパンポスト)の略称を掲げた日本郵政。「収益に見合ったサービス」と言うなら、過疎地へ手は回りにくい。一方で「かんぽの宿」を投げ売りするような問題も明るみに。地域に寄り添ってくれるはずの郵便局が、少しよそよそしくなっていた
政権交代で、「公」の側への揺り戻しが起きている。民営化のシンボルだった初代社長が辞め、次なるトップは元大蔵次官という。脱官僚はどうしたと言いたくなるが、いまさら「親方日の丸」に先祖返りするわけにはいくまい
今後はネットワークを生かして行政サービスも提供するという。欲は言わない。村里に安心の灯をともす旗を垂らしてほしい。郵の字をまだ捨ててはいないのだから。
天風録 中国新聞 2009年10月22日
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