竜馬は海援隊を組織して海運業に乗り出していた。いろは丸事件では、国際法である「万国公法」をちらつかせて紀州藩と談判。巨額の賠償金を約束させたという。海難裁判の先駆けである
その歴史的な港を埋め立て、橋を架ける計画が裁判になっている。きのう、広島地裁は架橋差し止めの判決を下した。町並みの散策を楽しんでいるファンは、ホッとしたことだろう。「道が狭くて不便」という住民の声も分かる。だが、常夜灯の先に橋ができれば、景観は台なしになる。鞆の浦は国民みんなの財産でもある
港の見える町家に2カ月ほど暮らした宮崎駿監督は、アニメ映画「崖(がけ)の上のポニョ」の構想を練った。「道端にいすを出して談笑し、すれ違う人とあいさつをする光景がある。そういう宝を大切にすべきだ」
前例にこだわらず合理的だったと言われる竜馬なら、景観を守ることと便利さの両立を目指したのではないか。賛成派と反対派の深い溝にこそ橋を架けてほしい。
天風録 中国新聞 2009年10月2日
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