十分に考えず軽はずみに行動すること、と辞書にはある。歌手の倖田來未さんは「35歳を過ぎると羊水が腐る」とラジオでしゃべり、大ブーイングを浴びた。涙ながらに繰り返したのが「軽率でした」。それ以上は責めるのをためらわせるような言葉でもある
今度は、JR西日本の前社長が口にした。107人が亡くなった4年前の尼崎脱線事故。国の事故調査委員会の報告書案を、あらかじめ手に入れていたという。国鉄時代の先輩である委員と何度も会って「内容を書き換えてくれ」とまで頼んでいた
JR側の責任を少しでも軽くしたい、との魂胆が見え見えだ。情報漏えいは犯罪行為。被害者や遺族にとっては、とんでもないことだろう。それなのに前社長も当の委員も「軽率だった」とわびるばかり
「短慮軽率」と四文字熟語でも使われる。言い換えれば出来心。謝れば許してもらえるぐらいのこと、という響きがある。しかし今回の漏えいは、そんな次元の問題ではない。どう身を処すか。ここは熟慮を重ねる時である。
天風録 中国新聞 2009年9月29日
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