2009年10月10日

国を挙げた招致活動「地元住民の支持率」スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てる・・・ 天風録 八葉蓮華

 東京劣勢との情報に、よほどいらだっていたのだろうか。歩きながらではあったが、質問しようとする記者を石原慎太郎都知事は「うるさい」と一喝した。コペンハーゲンからの映像を見て、正直、これでは無理だろうなと感じた

 2016年の五輪開催が決まると、全身で喜びを表したリオデジャネイロの人々。熱気がストレートに伝わってきた。東京の敗因の一つは、地元住民の支持率の低さだろう。56%と4都市でも最低で、都民はなかなか燃えなかった

 全国に広げると支持率はさらに下がるはずだ。首都への一極集中はどこまで、という不安へ応えないまま150億円もかけて招致活動が続いた。「地方から見れば東京のエゴでしかない」。広島県の藤田雄山知事の批判は、地方の率直な思いだろう

 1964年の東京五輪はその5年前に開催が決まった。返上した40年の幻の大会の夢よ再びと、国を挙げた招致活動が実を結んだ。そのころ世論調査すれば支持率は90%を超えただろう。五つの輪の一つであるアジアでの初開催を、世界中が祝福してくれた

 五輪憲章には「スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てる」とある。調和ある発達は、国と国、あるいは中央と地方の関係でも大切ではないか。敗れて学ぶ謙虚さを持ちたい。

 天風録 中国新聞 2009年10月4日
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2009年10月09日

建国60年「チャイナ・アズ・ナンバーワン」民主、人権、自由の分野も気にしてもらい・・・ 天風録 八葉蓮華

 建国60年で何かと話題の中国。書店で「チャイナ・アズ・ナンバーワン(世界一の中国)」という本に目が留まった。昔のベストセラーを思い出したからだ

 著者は、香港生まれの在日中国人エコノミスト。東洋でいち早く高度成長を成し遂げた国にあこがれて、留学してきた。それが、ちょうど「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた30年前だ。「根回し」や集団主義が米国の学者に褒めそやされていた

 国内総生産(GDP)が年内にも日本を抜き、世界第2位になると言われている母国の勢い。車の生産量や手持ちの外貨額では既にナンバーワン。「エコノミックモンスター」と海外から冷ややかな目で見られるのは、アニマル呼ばわりされた昔のこの国と共通している

 市場経済を取り入れたとはいえ、一党独裁が揺るがない。軍事費の伸びも世界でトップである。民主化の遅れる母国に向けた鋭い筆には、礼賛一色ではない著者なりの味付けがにじむ。ひょっとして長期政権で改革がずれ込んだ日本から学んだ教訓だろうか

 中国から漢字文化の恩恵を受けてきた日本。明治以降には「経済」「国防」などの和製の漢語が輸出された。「民主」や「人権」「自由」もそう。こちらの分野でのランキングも気にしてもらいたい。

 天風録 中国新聞 2009年10月3日
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2009年10月08日

「国民みんなの財産」景観を守ることと便利さの両立を目指し・・・ 天風録 八葉蓮華

 幕末、福山市鞆のはるか沖合で蒸気船同士の衝突事故があった。坂本竜馬が乗り込んだ「いろは丸」と紀州藩の軍艦。いろは丸は沈没し、その後、地元住民らが遺物を引き揚げた。石積みの常夜灯や雁木(がんぎ)の近くに、白壁の「いろは丸展示館」がある

 竜馬は海援隊を組織して海運業に乗り出していた。いろは丸事件では、国際法である「万国公法」をちらつかせて紀州藩と談判。巨額の賠償金を約束させたという。海難裁判の先駆けである

 その歴史的な港を埋め立て、橋を架ける計画が裁判になっている。きのう、広島地裁は架橋差し止めの判決を下した。町並みの散策を楽しんでいるファンは、ホッとしたことだろう。「道が狭くて不便」という住民の声も分かる。だが、常夜灯の先に橋ができれば、景観は台なしになる。鞆の浦は国民みんなの財産でもある

 港の見える町家に2カ月ほど暮らした宮崎駿監督は、アニメ映画「崖(がけ)の上のポニョ」の構想を練った。「道端にいすを出して談笑し、すれ違う人とあいさつをする光景がある。そういう宝を大切にすべきだ」

 前例にこだわらず合理的だったと言われる竜馬なら、景観を守ることと便利さの両立を目指したのではないか。賛成派と反対派の深い溝にこそ橋を架けてほしい。

 天風録 中国新聞 2009年10月2日
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2009年10月07日

考古学の世界、発掘捏造事件の後遺症。久々の明るいニュース・・・ 天風録 八葉蓮華

 本人はどこ吹く風のようだ。「日本最古の石器」を見つけたと騒がれている出雲市の成瀬敏郎さん(66)。「私は考古学者ではなく地質学者だから…」。出土品よりも、それをくるんでいた約12万年前の地層の方に関心があるらしい

 日本海の潮風が吹きつける同市多伎町の発見現場。標本のようなしま模様のあのがけが、長雨で崩れていないか。心配して買い物の道すがら立ち寄り、矢尻に似た石が顔をのぞかせているのに気付く

 風に乗って中国大陸から渡ってくる土。その積もり具合から大昔の気流の動きを読み取るのが専門という。定年で大学を去り、1年前にUターン。マイペースで地層の研究に打ち込むはずが、畑違いの発見で取材の嵐に見舞われた

 これまで先史考古学の世界は、逆風に身を縮めていた。2000年に明らかになった発掘捏造(ねつぞう)事件の後遺症。久々の明るいニュースによって「復権」が果たせるかもしれない。願ってもない助け舟になったようだ

 日本の旧石器時代の研究は、約60年前にアマチュアの考古学青年が群馬県岩宿遺跡を見つけてから始まった。「出るはずがない」火山灰層からの大発見にプロは驚いた。今回も専門家の眼中になかった西日本からの出土である。流れを変える風は思わぬ方から吹き込んでくる。

 天風録 中国新聞 2009年10月1日
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2009年10月04日

「気候変動と子どもたち」命をはぐくむ大地を取り戻すため何をすべきか・・・ 天風録 八葉蓮華

 最近、マルミミゾウであることが分かった広島市安佐動物公園のメイ。8年前、アフリカ西部のブルキナファソからやって来た。国土の広さは日本の約7割。ゾウの群れがゆったり草をはむ緑の大地が思い浮かぶ

 確かに、以前は国全体が草原と林に覆われていた。ところが、北部で干ばつが多発し、砂漠化が進む。食料危機にも見舞われ、世界で最もマズしい国の一つとされる。そんな現地の今を切り取った小さな写真展を広島市内で見た。日本ユニセフ協会主催の「気候変動と子どもたち」だ

 直径10キロの湖が小さな池になった。わずかに残る泥水をすする少年の表情が痛々しい。牛やヤギも骨が浮き出ている。ひからびた赤土の大地からは、命をはぐくむ力は感じられない

 すべて地球温暖化のせいとはいえまいが、内陸で気温が上がれば地表は乾く。影響をもろに受けるのが子どもたちだ。生まれた子の2割が5歳までに亡くなる。「高潔な人の国」を意味するブルキナファソで、子どもの物ごいやヌスみが目立つのは悲しい現実だ

 大量の草木を食べるゾウのすみかも徐々に狭まっているだろう。命をはぐくむ大地を取り戻すため何をすべきか。答えは分かっている。水温の上昇に気づかずシんでしまう「ゆでガエル」の道は歩みたくない。

 天風録 中国新聞 2009年9月30日
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2009年10月03日

事故報告書「内容を書き換えてくれ」謝れば許してもらえる次元の問題ではない・・・ 天風録 八葉蓮華

 「一言でいえば軽率ということになる」。漢字の誤読が相次いだ麻生太郎前首相が先月、頭を下げた。単なる読み違いであり人格や識見とは別、と言いたかったのだろうか。「軽率」は便利に使われがちな言葉である

 十分に考えず軽はずみに行動すること、と辞書にはある。歌手の倖田來未さんは「35歳を過ぎると羊水が腐る」とラジオでしゃべり、大ブーイングを浴びた。涙ながらに繰り返したのが「軽率でした」。それ以上は責めるのをためらわせるような言葉でもある

 今度は、JR西日本の前社長が口にした。107人が亡くなった4年前の尼崎脱線事故。国の事故調査委員会の報告書案を、あらかじめ手に入れていたという。国鉄時代の先輩である委員と何度も会って「内容を書き換えてくれ」とまで頼んでいた

 JR側の責任を少しでも軽くしたい、との魂胆が見え見えだ。情報漏えいは犯罪行為。被害者や遺族にとっては、とんでもないことだろう。それなのに前社長も当の委員も「軽率だった」とわびるばかり

 「短慮軽率」と四文字熟語でも使われる。言い換えれば出来心。謝れば許してもらえるぐらいのこと、という響きがある。しかし今回の漏えいは、そんな次元の問題ではない。どう身を処すか。ここは熟慮を重ねる時である。

 天風録 中国新聞 2009年9月29日
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2009年10月02日

月でも水分は今もつくられている「水の惑星」地球、奇跡のような星・・・ 天風録 八葉蓮華

 ルネサンスの天才科学者レオナルド・ダビンチは「水」にひとかたならぬ思いを抱いていた。地球にとっての水は、人間にとっての血液。それぐらい大事な物だから、当然「月にもある」と信じていた

 水に光が反射するから輝いて見える、とノートに書いていたそうだ。500年前のこと。その後、望遠鏡などで月の表面の様子が明らかになるにつれ、あんな荒涼とした場所に水があるはずはない、と思われるようになった

 それをひっくり返す観測結果が米国などの探査機から届いた。月が反射した太陽光から水分の波長が検出されたという。地表近くの岩石などにくっついて広く存在している、とみられている

 太陽から高速で飛んでくる水素イオンが、岩石などに含まれた酸素とぶつかって水になる。教科書通りの化学変化で、水分は今もつくられているらしい。たまって海にならないのは、すぐ蒸発するからだろうか。昼は表面温度が100度を超す。月の気候は過酷だ

 翻って「水の惑星」地球。月に比べれば穏やかで、奇跡のような星だ。しかし温暖化で異常気象が相次ぎ、海面も上昇している。ダビンチは「豪雨で万物は海に押し流され、世界は破滅する」とも書き残しているという。当たることがあってはならない見立てだ。

 天風録 中国新聞 2009年9月28日
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