2009年09月06日

絵手紙集「私の八月十五日」漫画の力で心のわだかまりをほぐす・・・ 天風録 八葉蓮華

 腹ぺこの人をほっておけない、とアンパンマンは自分の顔をちぎって差し出す。どうしてそこまでするのか不思議だった。漫画家たちが共同で出版した絵手紙集「私の八月十五日」を開いて謎が解けた

 作者のやなせたかしさん(90)は日中戦争に駆り出された。食糧の補給が絶え、タンポポの根をかじって飢えをしのいだという。「正義を口にするなら、まず空腹の人を救え」。戦場体験が異色のヒーローの原点だと明かしている

 敗戦時に小学生だったさいとう・たかをさん(72)は、てのひらを返したような大人社会を描いた。きのうまでの「鬼畜米英」が、きょうから「民主主義バンザイ」。もう世間の善悪や正義は信じない。頼りは自分だけ…。人気作「ゴルゴ13」のニヒルな主人公が思い浮かぶ

 絵手紙集の中国語版が出版された記念に、南京の資料館で原画展が開かれている。「大虐殺」の記憶が刻印されている街。「虎穴に入らずんば」との覚悟であえて展示先に選んだという。現地もよく受け入れたものだ

 漫画なら、若い世代にもとっつきやすい。見る側に解釈が許される包容力もあろう。判で押したような口先の「謝罪」とは違って、心のわだかまりをほぐすのに一役買ってくれているのかもしれない。漫画の力を感じる。

 天風録 中国新聞 2009年9月3日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月05日

地域の宝「トップス広島」スポーツ王国と言われた広島の復活を掲げ・・・ 天風録 八葉蓮華

「トップス広島」といっても、「何のこと?」と思う人が多いのではないか。全国トップレベルにあるスポーツチームでつくるNPO法人のことだ。かつて全国有数の「スポーツ王国」と言われた広島の復活を掲げ、10年前に設立された

 サッカーのサンフレッチェ広島、バレーボールのJT、ハンドボールの湧永製薬など4競技5チームでスタート。今年はプロ野球の広島東洋カープも加わって8競技、9チームになった。子どものスポーツ教室や試合の相互応援など、活動は多岐にわたる

 街の活性化にスポーツの果たす役割は大きい。今季からJ1に復帰したサンフレは、3連勝で7試合連続の負けなし。3位に浮上した。カープは順位こそ5位だが、新球場効果で観客数は大幅に増えている。アマ競技のチームも元気いっぱいだ

 競技の枠を超えた連携組織は、全国でもここだけである。多様なスポーツをはぐくむ素地があったのだろう。他都市の人たちがうらやむほどだ。ところが、肝心の地元では認知度が低い。プロとアマの意識の違いはあるが、トップス全体のファン交流会など一体となった活動が不可欠である

 「わがチーム」の応援に熱くなれるのは幸せなことだ。トップスは「地域の宝」である。みんなで守り育て、支援したい。

 天風録 中国新聞 2009年9月2日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月03日

与野党対立の嵐で、国の針路がかすむのが一番困る・・・ 天風録 八葉蓮華

 台風シーズンといえば9月だ。農事暦では「二百十日」前後が大風に見舞われやすいとされる。今年は、きょうがその日。関東地方には11号が一足早くやってきた

 ここ数年の「政治暦」でも9月は要注意のようだ。「あなたとは違うんです」と捨てぜりふを残して、首相が突然退陣を表明したのは1年前のやはりきょう。その前の首相が政権を投げ出したのは一昨年の9月である。そして今年、二百十日を待たずして政界に超大型が吹き荒れた

 「台風一過」で現れたのは、308という民主党の巨大議席である。自民党が4年前の9月に得たのも絶対安定多数。それにものを言わせて何本も法案を成立させた。「数の横暴」ともいわれたが、さて民主は…

 「両党の間に共通の広場を多くこしらえ、相手方の立場を考える気分を持たなければ」。初代自民党総裁だった鳩山一郎が、二大政党の「心得」を書き残している。だが自らの首相在任中、国会は乱闘騒ぎにもなった

 くしくも孫の由紀夫氏が新たな首相になる。インタビューでは「国会は野党のために存在している、というくらいの思いで行動する必要がある」と竹下登元首相の言葉も引いている。慎重な物言いにほっとする。いたずらな与野党対立の嵐で、国の針路がかすむのが一番困る。

 天風録 中国新聞 2009年9月1日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月02日

「頑張れよ」負けたら終わりなのではない。あきらめたら終わりなのだ・・・ 天風録 八葉蓮華

 英紙フィナンシャル・タイムズは、衆院選を前にして自民党をこう評した。「年のいった太りすぎの関取みたいだ」。どうしたら負け越さずに済むかと、きゅうきゅうとするばかり。将来を切り開く取り口が浮かばなくなっている、と

 自民党が、結党から半世紀も守り通してきた衆院第1党の座から転げ落ちた。これまでは何のかんのと批判を浴びても、土壇場になったら「やっぱり自民」という票を吸い寄せてきた。かつての底力は今や、見る影もない

 人は、負けて初めて身の処し方を考える。昭和の大横綱、北の湖は憎たらしいぐらい強く「負けろー」とやじが飛ぶほどだった。ところが盛りを過ぎ、負けが込んでくると、逆に「頑張れよ」と声がかかるようになった。それで「引き際」と悟ったという

 「負けたら終わりなのではない。あきらめたら終わりなのだ」。ニクソン元米大統領の言葉だ。ケネディに敗れたが8年後の選挙で、雪辱を果たした。こちらは、いかにもチャレンジを尊ぶ国らしい

 明治維新の立役者の一人、長州出身の木戸孝允の句がある。「世の中は桜の下の相撲かな」。満開の花を目にするのは勝った方ではなく、転がされてあおむけになった方だ。負けて「下から目線」になって見えるものもある、と教えられる。

 天風録 中国新聞 2009年8月31日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。