2009年08月30日

日本人初の快挙「やり投げ」やりをどこまで飛ばすか・・・ 天風録 八葉蓮華

 やりを投げる競技者が古代ギリシャのつぼに描かれている。獲物を仕留め、戦の武器にもなる道具をどこまで飛ばすか。狩猟好きの民が編み出したスポーツが、やり投げである。北欧で盛んなのは、武勇に優れたバイキングの末裔(まつえい)が多いからだろうか

 ベルリンの世界陸上で金メダルをさらったのもノルウェーの選手。表彰式で隣に並んだのが村上幸史(ゆきふみ)選手(29)である。銅メダルを首にかけて「すごいことをやってしまったんだと、ようやく分かった」。日本人初の快挙に、驚きを包み隠すことがなかった

 この種目がわが国に紹介されてまだ100年足らず。競技人口はさほど増えず、世界大会では鳴かず飛ばずだった。外国勢の壁を破った村上選手は、愛媛県上島町の生名(いきな)島の出身。因島の目と鼻の先にある1900人の小さな島だ

 旧生名村は平成の大合併で消えた。村上選手が通った島の中学も2年前の春、廃校になった。「こんなにうれしいことは久しぶり」。顔なじみの「ゆっくん」のメダルに島は沸いている

 この辺りの海と島でかつて村上水軍が縦横無尽に活躍した。今も島の世帯の27%は村上姓。水軍はバイキングと比べられることもある。船の戦には飛び道具が付きもの。やりを構えた村上選手の姿が、水軍の武者とダブって見えてくる。

 天風録 中国新聞 2009年8月27日
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どこか抜けていて、緩んでいて、和ませる「ゆるキャラ」恩讐を超えた交流・・・ 天風録 八葉蓮華

「ゆるキャラ」の名付け親は漫画家のみうらじゅんさんだ。ご当地イベントなどにお目見えする着ぐるみ。ゆかりの動物や特産がデザインされているものの、どこか抜けていて、緩んでいて、和ませる

 一番人気は滋賀県の「ひこにゃん」だろう。彦根藩の伝説に出てくる猫に、かぶとを着せた。3年前のデビュー以来、ふっくらとしてかわいい、と口コミによってたちまち全国区に

 ひこにゃんが「特命」を帯びて萩市に乗り込んだ。彦根藩主で大老だった井伊直弼が、長州の吉田松陰を刑シさせて150年。恩讐(おんしゅう)を超えた交流を、と願う井伊家の子孫らと一緒だ。さすが人気者。行く先々で子どもたちに囲まれ、記念撮影をせがまれた

 いい、悪いと決めつけたり、がちがちに定義づけたりはしない。「ゆるさ」の意味を、みうらさんはそうとらえる。歴史の見方も同じかもしれない。開国を進めた直弼と、維新を担う多くの志士を育てた松蔭。それぞれの「義」を考え直すきっかけになるのなら、ひこにゃんも大したもの

 萩には重い宿題がある。官軍として攻め入った会津との和解だ。「白虎隊」の少年ら多くの犠牲を出した向こう側には、今もわだかまりが残るという。萩発の人気キャラが生まれ、辞を低うして赴けば…と想像してみる。

 天風録 中国新聞 2009年8月26日
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