日本の農村には、数えで15歳になると若衆宿に集う風習が明治期まであった。集団で寝泊まりし、兄貴分から村のおきてや夜なべ仕事を習った。民俗学者の宮本常一によれば「世間を見ておかねば」と親の側から送り出すことが多かった
今、大人になるための関門は何だろう。マナーの悪さが毎年取り上げられる成人式では、ちと心もとない。経済的な自立でいえば入社式だろうが、非正規労働がここまで増えている。大人のなり方があいまいになる中で今回の「18歳成人」論議である
選挙に18歳で行けるようになり、ローン契約や結婚は、親が反対してもできる。成人年齢の引き下げは世界的な流れだ。ただ、すぐには大人になりたくないという若者も多い時勢。親がかりの大学生に、どこまで自覚が生まれるだろうか
世間の波間に放り込んで自立を促すような明治風の親は、まれだ。子離れしたくない親もいる。危ないジャンプは無理としても、若衆宿の現代版のようなものがもしあったなら…。
天風録 中国新聞 2009年7月31日
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