2009年08月04日

ピープルパワー「ラバン」を意味するL字形の指サインを示す姿・・・ 天風録 八葉蓮華

 フィリピンでは、黄色は自由や幸せのシンボルとされる。独裁と腐敗が目に余るマルコス政権を、民衆たちが倒したのは23年前である。マニラの大通りを埋め尽くしたそろいのTシャツの黄。希望の色として目に染みた

 東西冷戦の構造がきしみ始めていた時期である。ミャンマーや東欧諸国、中国でも、非暴力の民主化運動が次々に起きた。世界へ広がったピープルパワーへの共感の波。その立役者だったアキノ元大統領が亡くなった

 裕福な家庭で育ったが、元は普通の主婦。マルコス政権と対立する夫が暗殺された。化粧気がなく「女学生のよう」とも形容された彼女の運命は、一変する。大統領選で「ラバン(闘い)」を意味するL字形の指サインを示す姿には、初々しさがあった

 マルコス陣営のイメルダ夫人の浪費癖には厳しかった。「マニキュアを塗るひまがあれば、国民のことを考えたら」と。大統領職には6年。軍の掌握に苦しんだ。今も大地主が富を独占し、民衆が貧困にあえぐ構造は変わらない。変革の志は、厚い壁に阻まれたままだ

 政界を引退後も、政権の腐敗は後を絶たない。「マルコス時代へ後戻りしてはならない」と繰り返し訴えた。もちろんいつも黄色の服で。色あせ気味といわれようとも、初心にこだわり続けた。

 天風録 中国新聞 2009年8月3日
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2009年08月03日

被爆体験を引き継ぐ「当事者」学校や職場、地域の慰霊祭が続く・・・ 天風録 八葉蓮華

 原爆の日の慰霊祭の準備に手を貸して―。広島大付属福山高の同窓会から広島在住のメンバーに、今年もメールが届いた。戦後になって発足した母校。はて原爆?と初めのころ、首をひねったのを思い出す

 前身は山中高等女学校。被爆当時は広島女子高等師範学校の付属で、広島市中区にあった。それを知ったのはずいぶん後のことだ。あの日、学校近くで建物疎開作業に当たっていた1、2年生の大半が亡くなった。全体の犠牲者は400人を超え、校舎も壊滅した

 広島の建物疎開跡にある碑前では毎年、遺族や同級生らの手で慰霊祭が営まれてきた。しかし、寄る年波で案内状の発送や会場の設営も難しい。そこで流れをくむ同窓会がボランティアを買って出た。3年前から、地元町内会と一緒に慰霊祭を引き継ぐ

 今やビルの谷間になり、当時の面影は見当たらない。ただ何度か足を運ぶうちに「当事者」になってきた。何となく遠い存在だった被爆者が、より身近に感じられるようになった。福山から駆け付ける現役の高校生たちも、きっと同じに違いない

 8・6まで、広島市と近郊では学校や職場、地域の慰霊祭が続く。祈りの場に思い切って加わってみたら、どうだろう。被爆体験を引き継ぐのは、そんな一歩から始まる。

 天風録 中国新聞 2009年8月2日
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2009年08月02日

記念撮影の順番待ち「機動戦士ガンダム」昔に戻って熱くなった父さんたち・・・ 天風録 八葉蓮華

 ヒーローは強く正しい。すかっと敵をやっつける。そんなおきまりのストーリーと違うのが、テレビアニメ「機動戦士ガンダム」だった。生まれて30年。記念にと、高さ18メートルの立像が東京のお台場にお目見えした

 宇宙戦争で巨大ロボットに乗る少年が主人公。ところが「怖いの嫌」と気弱で、敵の方がむしろかっこいい。それでも次第に成長していく少年。高校生のころ、予想を超えた筋書きに、次はどうなるのだろうと友人と熱くなった。やがて映画も大ヒット。10を超す続編も生まれた

 アニメから抜け出たような巨像の前。昔に戻って熱くなった父さんたちは、記念撮影の順番待ちで押すな押すな。だが付き合いで一緒に来た家族は、少し離れて「なぜ、いい年をしてこんなものに?」としらけた表情だった

 それにしてもすごいのは経済効果だ。プラモデルなどを売るブースには長い列。ほかに予約制のDVDやグッズも飛ぶように売れている。この1年で数千億円が動くという 

 国の景気対策で打ち出されたのが「アニメの殿堂」。麻生太郎首相の意気込みは熱く、ガンダムブームにあやかりたいところだろう。ただ多額の予算だけつけて中身を考えるのは後から、というのでは…。遠くから冷ややかな視線を投げかけている人もいる。

 天風録 中国新聞 2009年8月1日
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2009年08月01日

世界的な流れ「18歳成人」どこまで自覚が生まれるだろうか・・・ 天風録 八葉蓮華

 やぐらの高さは20〜30メートル。植物のつるを足首に縛って真っ逆さまに飛び降りる。危険極まりないが、成功して初めて一人前と認められる。南太平洋に浮かぶバヌアツ共和国ペンテコスト島での成人の儀式だ。バンジージャンプの原型でもある

 日本の農村には、数えで15歳になると若衆宿に集う風習が明治期まであった。集団で寝泊まりし、兄貴分から村のおきてや夜なべ仕事を習った。民俗学者の宮本常一によれば「世間を見ておかねば」と親の側から送り出すことが多かった

 今、大人になるための関門は何だろう。マナーの悪さが毎年取り上げられる成人式では、ちと心もとない。経済的な自立でいえば入社式だろうが、非正規労働がここまで増えている。大人のなり方があいまいになる中で今回の「18歳成人」論議である

 選挙に18歳で行けるようになり、ローン契約や結婚は、親が反対してもできる。成人年齢の引き下げは世界的な流れだ。ただ、すぐには大人になりたくないという若者も多い時勢。親がかりの大学生に、どこまで自覚が生まれるだろうか

 世間の波間に放り込んで自立を促すような明治風の親は、まれだ。子離れしたくない親もいる。危ないジャンプは無理としても、若衆宿の現代版のようなものがもしあったなら…。

 天風録 中国新聞 2009年7月31日
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