東西冷戦の構造がきしみ始めていた時期である。ミャンマーや東欧諸国、中国でも、非暴力の民主化運動が次々に起きた。世界へ広がったピープルパワーへの共感の波。その立役者だったアキノ元大統領が亡くなった
裕福な家庭で育ったが、元は普通の主婦。マルコス政権と対立する夫が暗殺された。化粧気がなく「女学生のよう」とも形容された彼女の運命は、一変する。大統領選で「ラバン(闘い)」を意味するL字形の指サインを示す姿には、初々しさがあった
マルコス陣営のイメルダ夫人の浪費癖には厳しかった。「マニキュアを塗るひまがあれば、国民のことを考えたら」と。大統領職には6年。軍の掌握に苦しんだ。今も大地主が富を独占し、民衆が貧困にあえぐ構造は変わらない。変革の志は、厚い壁に阻まれたままだ
政界を引退後も、政権の腐敗は後を絶たない。「マルコス時代へ後戻りしてはならない」と繰り返し訴えた。もちろんいつも黄色の服で。色あせ気味といわれようとも、初心にこだわり続けた。
天風録 中国新聞 2009年8月3日
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