ベルリンの世界陸上で金メダルをさらったのもノルウェーの選手。表彰式で隣に並んだのが村上幸史(ゆきふみ)選手(29)である。銅メダルを首にかけて「すごいことをやってしまったんだと、ようやく分かった」。日本人初の快挙に、驚きを包み隠すことがなかった
この種目がわが国に紹介されてまだ100年足らず。競技人口はさほど増えず、世界大会では鳴かず飛ばずだった。外国勢の壁を破った村上選手は、愛媛県上島町の生名(いきな)島の出身。因島の目と鼻の先にある1900人の小さな島だ
旧生名村は平成の大合併で消えた。村上選手が通った島の中学も2年前の春、廃校になった。「こんなにうれしいことは久しぶり」。顔なじみの「ゆっくん」のメダルに島は沸いている
この辺りの海と島でかつて村上水軍が縦横無尽に活躍した。今も島の世帯の27%は村上姓。水軍はバイキングと比べられることもある。船の戦には飛び道具が付きもの。やりを構えた村上選手の姿が、水軍の武者とダブって見えてくる。
天風録 中国新聞 2009年8月27日
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