2009年07月29日

無駄な道路「コストに見合う効果」政治の力の原点を考えさせる・・・ 天風録 八葉蓮華

 住民が立ち上がればここまでできるのか。トンネルの暗がりの中で感嘆した。新潟県の旧山古志村(長岡市)から魚沼市へ抜ける「中山隧道(ずいどう)」。戦争を挟んで16年もの間、村人がつるはしを振るって貫通させた。875メートル。手掘りでは国内最長のトンネルだ

 冬は4メートルの雪。かつて妊婦や病人は背負われて峠を越えるしかなかった。思い余った末に村人は「掘ろう」と決断した。今はその隣に国道291号「中山トンネル」が走る。陳情を受けた地元選出の田中角栄元首相の後押しで開通し、11年になる

 「命綱」の役割は、狭い隧道から2車線の広いトンネルにバトンタッチされた。もう少々の吹雪でも大丈夫。現地に立って二つのトンネルを見ると、人々の切実感と安心感が同時に伝わる

 無駄な道路をつくるな、という世論が強まっている。国が「コストに見合う効果」を検討し、全国18の直轄国道事業を一時凍結したのもそのため。ところがほとんどが継続されることになった。住民の側に切羽詰まった求めがあったのかどうか

 切実な要望に応え、「立ち上がろうとする人」に力を貸すのが、本来の政治の役目だろう。元首相の手法は利益誘導として指弾されたが、悲願をかなえた地域もある。隧道は、政治の力の原点を考えさせる。

 天風録 中国新聞 2009年7月28日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 23:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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