熊本県水俣市が建てた「水俣病資料館」をのぞいたことがある。一角には歴代の商品が並ぶ。塩ビ製品だけでなく、ブラウン管や液晶、化学肥料、写真フィルム…。チッソがもたらした「便利な暮らし」が心に焼き付いた
水俣病の公式確認から半世紀余り。公募で選ばれた一つのメッセージがある。「私たちは被害者であり、加害者でもある」。無知からとはいえ隣人を「奇病」扱いした。補償金をやっかんだ。わが過ちを見つめて、責任を負おうとする一文が重い
「私たちは」という主語は、水俣市民ばかりを指すのではないだろう。便利さ、豊かさの陰で踏み台にされてきた人から、私たちは目を背けてこなかったか。そう問い掛けられた気がする
未認定患者を救済する法案がきのう、衆院を通った。一時金を払ったら親会社をたたみ、子会社で事業を続ける内容だ。しかし正面から謝罪されたとは受け止められない遺族や被害者も多い。「私たちは加害者」との自覚があってこそ誠意は伝わるはずなのだが。
天風録 中国新聞 2009年7月4日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録