2009年07月10日

新疆ウイグル自治区の騒乱、サミットどころではない・・・ 天風録 八葉蓮華

 納豆の日をご存じだろうか。18年前、それまであまり食べられていなかった関西に普及しようと、生産者の組合が7・10の語呂合わせで決めたらしい

 納豆の原形は奈良時代に中国から伝来。その後、日本で今のような食品になった。「納豆の糸引っ張って遊びけり」。江戸後期の俳人、小林一茶の句である。幼い子どもの姿のようだが、政権を引っ張るだけに執着する、どこかの国の政治家のようにも読めそう

 納豆は、変わった読み方の和製漢語だ。「納(ナッ)」は「ノウ」という呉音の慣用で「納得」などと同じ系列。一方の「豆」は、後に日本へ入ってきた漢音読みの「トウ」。こうした読み方の源流にも、中国の歴史的な地域差が現れている

 イタリアを訪れていた中国の胡錦濤国家主席がきのう、急きょ帰国した。新疆ウイグル自治区の騒乱に対処するためという。少数民族による暴動としては、かつてない規模。文化や人権の抑圧への反発も強い。民族間の対決の糸が練り込まれていくのは、政権にとって危険信号だ。サミットどころではないらしい

 残った首脳らはさぞ拍子抜けだろう。「解散味」の賞味期限が迫ってきた麻生太郎首相もいる。7・10までのサミット。頼みの外交がしぼめば、さしずめ「干し納豆」といったところか。

 天風録 中国新聞 2009年7月9日
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2009年07月09日

G8「先進国クラブ」今や先進国だけでは世界は回せない・・・ 天風録 八葉蓮華

 雑談していて「G」は何だろうという話になった。イタリアで始まる主要国(G8)首脳会議である。多かったのは「グレートでは」という答え。偉大な、との意味だ。調べてみると「グループ」。あまりにそのままで、笑ってしまった

 明治の日本が目指したのは「一等国」入りだった。産業を興し、軍備を整えた。日露戦争で世界に認められ、後に「五大国」の仲間に入れてもらう。当時の意識の名残が「グレート」に表れた、と思えなくもない

 石油危機の後にスタートしたのがG8だ。はじめは米英独仏伊と日本の「六大国」による先進国クラブだった。一緒に世界を仕切ろうという欧米からの誘い。「アジア代表」として仲間に入った日本は、プライドを大いに満たされた

 ところが今や先進国だけでは世界は回せない。イタリアでもG8の集まりは初日だけで、後は中国などを入れたG13やG14の枠組み。一方で今後の世界を動かしそうな米中を指すG2という新語さえ生まれている

 危機感が広がっているようだ。これでは日本が埋没する、置き去りにされる、と。慌てなくてもよかろう。「グレート」の席次争いではなく、戦争をせず優しい文化を発信する「ジェントル」というもう一つの「G」の先頭に立つ、という手もあるはずだ。

 天風録 中国新聞 2009年7月8日
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2009年07月08日

「よき甘え」苦しい時に助けを求め、甘えることがどれだけ大切か・・・ 天風録 八葉蓮華

 そこまでしてもらっては申し訳ない。でもこの人がここまで言ってくれているのを断っては…。そんな場面で「ではお言葉に甘えて」。双方が好意の確認ができたようで、心地がいい

 こうした日本人の行動様式から「甘え」というキーワードを抽出したのが、亡くなった精神科医師の土居健郎さんだ。留学先の米国には訳語のない言葉。帰国後に「なぜ」を突き詰めて出版した「『甘え』の構造」は、40年近くものロングセラーになった

 甘えが潤滑油になってうまくいく人間関係の例などを挙げながら、特有の文化と論じている。その後マイナスイメージでとらえられもしたが日本社会の中で「甘え」の存在は認知されたようだ

 ただ事情が少し変わりつつある。本紙教育面に、ある女子学生の話が載っていた。自殺したくなるほど体調が悪いが、親にも言わない。妹が大変な時期で、自分まで心配をかけられない。これまでも親に甘えないできた、という

 この話を紹介した教授が反省している。「苦しい時に助けを求め、甘えることがどれだけ大切かを伝えてこなかった」。世間で叫ばれる「自立」や「自己責任」。でもそれだけでは逃げ場がない。2年前の増補版でも土居さんが説いた「よき甘え」の勧め。今の社会への遺言と読める。

 天風録 中国新聞 2009年7月7日
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2009年07月07日

ドビン「ガイド犬」飼い主に取り残され、商店街に寝そべる日々・・・ 天風録 八葉蓮華

 銅像になった犬といえば「ハチ公」だろう。飼い主が急死した後も、夕方になるとこれまで通り、渋谷駅に迎えに現れた。そのけなげな姿に、やがて周りの人も餌をやったりするようになる。駅通いは、死ぬまで10年続いたという

 石像になる犬もいる。尾道市の商店街で暮らす「ドビン」。10年前に飼い主の引っ越しで取り残され、誰ともなしに世話を始める。観光客と坂道を上る姿が、ちょうど案内しているように見えた。「ガイド犬」という名がつき、メディアで何度も紹介される

 店にとっては看板になる「名物犬」。あちこちでおやつをもらい、かわいがられる。ただ親切が過ぎて太ったのと、人間なら100歳という高齢。今はガイドを引退して商店街に寝そべる日々だ

 ハチ公の像は1934年に建った。満州事変の3年後。「忠誠」を尽くす姿がたたえられたのは戦前の空気を映していたからだろう。ではドビンは…。飼い主がいなくなった犬を育てるご近所のきずなと優しさ。今の時代が求めている物語かもしれない

 元気なうちにとの願いもあるのだろう。石像は8月末にお目見えする。ハチ公は米国でも映画化され、近く日本公開される。尾道といえば映画のまち。ドビンを主役にカメラを回す監督が、いつか現れるかもしれない。

 天風録 中国新聞 2009年7月6日
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2009年07月06日

三次市「妖怪のまち」妖怪パワーでまちおこし・・・ 天風録 八葉蓮華

 「最近はどこでも明るいから妖怪の出る場所がない」。漫画家水木しげるさんの嘆きである。確かに明るく、まっすぐ見渡せるような所には、妖怪は出にくいだろう。なら、その逆を行く妖怪のユートピアはあるのか

 3本の川が曲がりながら合流する地形で、慣れないと迷いやすい。名物は視界が利かないような深い霧。そんな三次市で「妖怪のまち」をPRする展示やスタンプラリーが始まった。最大の強みは、地元を舞台にした妖怪物語「稲生(いのう)物怪録(もののけろく)」があることだ

 約250年前のことで、主人公は16歳の稲生平太郎。比熊山ろくにあった家で7月初め、巨大な手に襲われた。その後も怪奇現象が続くが屈せず、1カ月後には妖怪が降参するとの粗筋だ。平太郎は実在の武士だったことも、妙に説得力を増す

 独自の奇想天外な物語は江戸時代に全国へ広まった。今も現代語訳や漫画などの出版が続く。妖怪パワーでまちおこしをとの運動も今年で10年。ただ全国の愛好者に比べ、地元の妖怪熱の広がりはいまひとつとの声も

 映画「もののけ姫」のモデルは中国山地のタタラ製鉄場とされる。上流の薄暗い森の下に埋もれた生業の記憶にも思いをはせてみてはどうだろうか。水木さんの三次評という「日本の妖怪の古里」に一歩近づくかもしれない。

 天風録 中国新聞 2009年7月5日
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2009年07月05日

「私たちは被害者であり、加害者でもある」便利さ、豊かさの陰で・・・ 天風録 八葉蓮華

 昔の水まきホースはもろく冬にはポキポキ折れた。戦後しばらくして、丈夫で軟らかな塩化ビニールのホースが現れ、国民は飛びつく。水銀を触媒に使う塩ビ製品。日本で初めて世に出したのが、水俣病の加害企業チッソだ

 熊本県水俣市が建てた「水俣病資料館」をのぞいたことがある。一角には歴代の商品が並ぶ。塩ビ製品だけでなく、ブラウン管や液晶、化学肥料、写真フィルム…。チッソがもたらした「便利な暮らし」が心に焼き付いた

 水俣病の公式確認から半世紀余り。公募で選ばれた一つのメッセージがある。「私たちは被害者であり、加害者でもある」。無知からとはいえ隣人を「奇病」扱いした。補償金をやっかんだ。わが過ちを見つめて、責任を負おうとする一文が重い

 「私たちは」という主語は、水俣市民ばかりを指すのではないだろう。便利さ、豊かさの陰で踏み台にされてきた人から、私たちは目を背けてこなかったか。そう問い掛けられた気がする

 未認定患者を救済する法案がきのう、衆院を通った。一時金を払ったら親会社をたたみ、子会社で事業を続ける内容だ。しかし正面から謝罪されたとは受け止められない遺族や被害者も多い。「私たちは加害者」との自覚があってこそ誠意は伝わるはずなのだが。

 天風録 中国新聞 2009年7月4日
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2009年07月04日

チェ・ゲバラ「革命家」平和のために闘うには、絶対に広島に行くべきだ・・・ 天風録 八葉蓮華

 ビートルズのジョン・レノンが「世界で一番格好いい男」と評したという。ひげ面と鋭いまなざしにベレー帽姿は、確かにきまっている。キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラである

 ことしは、フィデル・カストロ前国家評議会議長らが親米政権を倒した革命から50周年に当たる。アルゼンチン人医師のゲバラは前議長と出会ってゲリラ闘争に参加。革命後はボリビアに転戦し、39歳で殺害された

 その栄光と挫折を描いた2部作が日本でも上映され、ヒットした。学生運動にも共産主義にもなじみの薄い若者たちが、異国の革命家に引きつけられた。閉塞(へいそく)感の中でヒーロー願望があるのだろうか。写真がプリントされたTシャツは、ファッションにもなっている

 ゲバラは50年前の7月、広島を訪れて原爆資料館を見学した。「君たちは、アメリカにこんなひどいことをされて、怒らないのか」という言葉を残している。その時、家族にあてた手紙には「平和のために闘うには、絶対に広島に行くべきだ」と書かれていたという

 その後、キューバでは8月6日が特別な日として、テレビが特集を組むなど「ヒロシマ」が長く語られてきている。リーダーが被爆地に立つ意味は重い。もし招致運動が実ってオバマ米大統領が広島を訪れたとしたら…。

 天風録 中国新聞 2009年7月3日
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2009年07月03日

約30年前に現れたママチャリ。今度の3人乗りは、さらにバージョンアップ・・・ 天風録 八葉蓮華

 2人でノーベル賞を取ったキュリー夫妻は、アウトドアの趣味も合っていたらしい。新婚旅行も、当時ポピュラーだった鉄道や船ではなく自転車で。町を抜け、野山の風に吹かれ、研究生活のストレスを発散させたという

 そのころ、日本は明治時代。銀輪にまたがるハイカラ女性に、世間は冷たかった。その視線は大正になっても変わらない。広島県は女学生の自転車通学に待ったをかける。「サドルで子宮がゆがみ、難産になりやすい」との珍説で

 今も温かい目ばかりとは限らない。前と後ろに子どもを乗せたママチャリの3人乗り。「危ないから」と昨年、交通規則で禁止されそうになった。子育てママは「家に置いて出る方がよほど危険」と猛反発。きのうから、一定の規格を満たした車体なら堂々と乗れることになった

 「自転車の女性にはいつの時代も向かい風が吹く」と自転車文化センター(東京)の学芸員。しかし逆風に負けないバイタリティーが、車体の進化を呼んだ面もありそうだ

 約30年前に現れたママチャリ。低いサドルで低速でもふらつかないのが画期的だった。それを改良した今度の3人乗り仕様は、さらにバージョンアップ。乗り心地はよくなり、肩身も広くなった。育児ストレスがちょっぴり和らぐかもしれない。

 天風録 中国新聞 2009年7月2日
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2009年07月02日

カープ黄金時代「赤ヘル旋風」新たな器でサプライズの再現を・・・ 天風録 八葉蓮華

「ヒーローは王でも田淵でもなかった。赤いヘルメットをかぶった広島勢だった」。1975年のオールスター第1戦を本紙はこう書いている。山本浩二、衣笠祥雄両選手が2打席連続のアベック本塁打を放ち、他のカープ選手も投打に大活躍。「赤ヘル旋風」という言葉が生まれた

 ここから赤ヘル軍団のサプライズが始まる。ペナントレースの後半戦は逆転につぐ逆転で、ついに悲願の初優勝をなしとげた。3年連続で最下位にあえいでいたチームに、神がかり的な勢いを呼び込んだ球宴。その効果は絶大だった

 今年は14年ぶりに広島で開かれる。マツダオールスターゲームのファン投票で、カープから5人も選ばれた。もちろん過去最多である。予想外だったのか。「この成績では」と戸惑いを隠せない選手もいたが、「ファンに恩返しを」という言やよし

 投票結果は、マツダスタジアムという舞台の効果もあるのだろう。開幕から1試合当たり2万7千人余りの観客でにぎわう。このペースなら旧市民球場での集客記録を優に上回る。すき間なく埋まった球場は、選手ならずとも見ていて気分がいい

 かつてのカープ黄金時代の扉を開いてくれたあの球宴から34年たつ。願わくば、赤で染まった「新たな器」でサプライズの再現を。

 天風録 中国新聞 2009年7月1日
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2009年07月01日

瀬戸内海、青い海回復「研究所」最近はコンピューターで代用できる・・・ 天風録 八葉蓮華

 休暇村大久野島(竹原市)の名物であるウサギをめぐる「定説」があった。「ドクガス工場の実験動物の子孫」。いかにもありそうな話で、学校関係者らに広がった。ところが調べてみたら大間違い。実は戦後になって外部から持ち込まれていた

 「瀬戸内海の水が入れ替わるのに50年かかる」。これもそうだろうなあ、と思わせる話。教科書にも載るほどの定説になっていた。それをうそだと実証したのが呉市にある瀬戸内海の大型水理模型だ。答えは「1年半」。それなら水質改善できると希望が生まれた

 長さ230メートルの巨大模型ができたのは、公害が深刻だった36年前。島や海底の地形を2千分の1で作製し、潮流も再現した。色のついた水を流せばどう広がるかもすぐ分かり「青い海回復」への処方せんを書く役割を果たした

 ところが最近はコンピューターで代用できる。水道代など維持費もかさむ。時代の流れだろう。研究所の移転計画をきっかけに「停止」が決まる。最後の一般公開となった先週末、模型の上を歩いた

 大久野島はもちろん、地図では実感できない全体像が分かる。デジタルとは違うアナログの良さだろう。民間企業の倉庫に使われるというからもったいない話。瀬戸内海を知る教材として「第二の人生」はないだろうか。

 天風録 中国新聞 2009年6月30日
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