反省を胸に、取り組んでいるのは「ウミガメと少年」という戦争童話の朗読である。「鉄の暴風」と呼ばれた米軍の艦砲射撃。その最中、海亀の産んだ卵を独りぼっちの少年がかえそうとする、ほのぼのと切ない作品だ。ひめゆりのように声高に訴えるシーンなどどこにもない
童話の挿絵が今、三次市の三良坂平和美術館に並べられている。吉永さんの思いと共鳴し合うかのように、画面のタッチは静かで柔らかい。それが逆に、見る側の想像をかき立てる
宮崎駿監督のアニメ映画でトトロの森を描いた男鹿和雄さんの絵である。少年の隠れ家になった海辺のガマ(洞穴)の色合いには深みがある。ガマといえば、逃げ込んだ何組もの家族が近づく米兵に観念し、自決を図った。そんな悲史も思い出す
本土防衛の「捨て石」とされた沖縄。ウミガメの童話を書いた野坂昭如さんは心情をこう思いやる。「陰で何があったか、生き残った者は口を閉ざす」。書けない、語れない「無言」の向こうに思いをはせたい。沖縄はきょう、慰霊の日。
天風録 中国新聞 2009年6月23日
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