2009年06月20日

「生きにくさ」あなたのおかげで、救われた人もたくさんいます・・・ 天風録 八葉蓮華

 自分が自分でないような。いつも人に左右されているような。そんな「生きにくさ」を抱えた人が集まる会が、広島市にある。主宰しているカウンセラーによると、メンバーの多くが共感するのが、太宰治の「人間失格」という

 周りの人たちとうまく関係がとれないために「道化」を装う男の手記の形をとる。自信がないから必しで笑顔をつくる。摩擦が怖いので頼みを断れない。周囲に合わせて「一言も本当のことを言わない子」の苦しさが、自虐的につづられる

 「会のメンバーも似ている。自信がないからつい仮面をかぶってしまう」とカウンセラー。しかし多かれ少なかれ誰も仮面を着けている。読んで、鏡を見せつけられたような気がするのはそのせいだろう

 新潮社によると、文庫版は累計630万部が売れている。夏目漱石「こころ」に次ぐロングセラーだ。「自分と同じ」と楽になったり、「自分はこれほどではない」とほっとしたり。あるいは「仮面を外してみようか」と勇気を得たり。さまざまな読者がいるに違いない

 100年前のきょう、青森県で生まれた太宰治。数々の逆説めいた文章も残している。その中の一つに「生まれて、すみません」。いえいえ、あなたが生まれたおかげで、救われた人もたくさんいます。

 天風録 中国新聞 2009年6月19日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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