芝居がかったせりふを本当に吐いて、鳩山邦夫総務相が辞表を出した。「かんぽの宿」の譲渡は出来レースで不正義。だから日本郵政社長の続投は認めない。そう突っ張り続けてきたが、とうとう耐えきれなくなったようだ
麻生太郎首相が示したという「落としどころ」をバラしている。社長が総務相に謝罪するということでどうか、と。しかしわびを入れる相手は国民のはずで、これは誰が見ても筋違い。それをけっての辞任だけに留飲を下げた人もいるだろう
「泣いて馬謖(ばしょく)を斬(き)る」という。いくらかわいがっている腹心でも、言うことに背いたら処断すること。中国「三国志」の故事に由来する。首相は、従わなかった盟友に刀を振るったわけではないが、最後には追い込んで、詰め腹を切らせた
その経過もまた、大向こう受けする言い回しと相まって、判官びいきの桟敷の客に訴えかける。ただ、かっこよすぎるせりふには少し意地悪になってみたくなるのも人情だ。解散という「宝刀」が抜かれる日が近いからこそ、せりふの裏にも目を凝らしたい。
天風録 中国新聞 2009年6月13日
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