ほぼ新聞2ページ大の地図は、旧町名と番地入り。当時、霞町に移っていた県庁などの公共施設に加え、商店や町工場も記されている。裏面には約300の広告。地形の大まかさは否めないが、復興に向けて歩み始めた街の息遣いは伝わってくる
先月下旬、復刻出版した南区の古書店には、買いに来る人が引きも切らないという。日ごろ口数の少ないお年寄りが、地図を広げて何時間もしゃべった。そんな後日談も届いた。懐かしい店や会社の名前を見つければ、誰しも思い出があふれるに違いない
全国的にも、レトロ地図は静かな人気を呼んでいるようだ。戦前戦後と現在の都市地図をセットにして売り出している出版社もある。こちらはウオーキングがてら、昔の面影を探して楽しむ趣向なのだろう
街の活気を示すバロメーターといえる店や会社。それが記された地図はさしずめ、時代を生きた人々の「証し」ともいえようか。旅する民俗学者、宮本常一にこんな言葉がある。「過去をふりかえることによって希望を明日へかけたい」
天風録 中国新聞 2009年6月7日
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