2009年06月07日

ぬれぎぬ「リハビリ」浦島太郎の社会復帰、自由な身・・・ 天風録 八葉蓮華

 解放の喜びで男性の顔はくしゃくしゃだった。「死刑台からの生還」といわれた免田栄さん(83)。強盗殺人などのぬれぎぬで、34年もの獄中生活を強いられていた。再審でやっと無罪に。あれからもう四半世紀がたつ

 講演を聞いたことがある。「拘置中に年金制度が始まった。誰も教えてくれなかった。無年金になって、老い先が見えない」。真犯人が挙がらないため陰口も絶えない。「いまだに私は死刑囚」とも。顔に刻まれたしわは終始、深いままだった

 17年半ぶりに釈放され、自由な身で一夜を明かした菅家利和さん(62)。きのうは寝不足の様子だった。「好きなコーヒーの飲み過ぎで…」。いたずらが見つかったような照れ笑い。そんな表情を映すテレビ画面に安(あん)堵(ど)した

 しかし大変なのはこれからだろう。にこやかな顔が曇る日もあるはずだ。無罪を祈り続けてくれた両親はこの世にいない。まるで浦島太郎の社会復帰。ケータイのかけ方、電車の乗り方から「リハビリ」をしなければならない

 免田さんが報道陣に答えていた。「菅家さんとは通じ合える。同じ体験者だから」。心なしか目に力強さを感じた。そう何人も出ては困るが、二人はまたとない「同志」。顔がこわばりそうになった時、ケータイが二人をつなぐかもしれない。

 天風録 中国新聞 2009年6月6日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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