2009年06月03日

世界一の座に安住し、変化への対応に遅れたGM・・・ 天風録 八葉蓮華

 「あの車」は成功のあかしだった。ヒットを飛ばしたミュージシャンにぽんと買い与えるレコード会社。半世紀前の米国の実話をもとにした映画の名は「キャデラック・レコード」である

 長いボディーに大排気量のエンジン。尾翼を思わせる「ひれ」もついていた。ゼネラル・モーターズ(GM)の看板車は、いかにもビッグ。ハリウッド映画にもたびたび登場し、世界中の人たちが「富の象徴」としてあこがれた

 力道山に石原裕次郎…。日本でも、スターが手に入れるたびに話題となった。子どものころ、裕福な友人の家に1台あったのを思い出す。もちろん中古だったと思うが、近寄ろうとしただけでしかられた

 そんな時代はすっかり遠くなった。業界の頂点に君臨したGMの経営が行き詰まり、国有化される。この車を専用車に使うオバマ大統領は、優良ブランドとして残すようだ。政権の看板はエコカーだけに、燃費の悪さという「伝統」も少しは改善されようか

 キャデラックの名は、あるフランス貴族に由来している。300年前にアメリカ建国に先だって新大陸に渡り、後に自動車の聖地となるデトロイトにとりでを築いた。世界一の座に安住し、変化への対応に遅れたGM。失われたのは、開拓と挑戦の心だったのかもしれない。

 天風録 中国新聞 2009年6月2日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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