目が不自由だった宮崎さんは、妻が吹き込んだ倭人伝や古事記などのテープを暗記するほど聴いた。地名の音を手掛かりに九州各地を歩く。パズルを解くように推理を重ね、古里に近い諫早湾南岸が邪馬台国と世に問うた。「偉大な素人」の発想が、今に続くブームに火を付けた
昨年秋には、古代の夢を追い求めた夫妻の姿が映画化された。プロの学者からは「非科学的」とあまり顧みられなかった宮崎説。手を携えて傾けた情熱の底には、権威への負けじ魂もあったのかもしれない
いまだ邪馬台国がどこか、確定しないままだ。つい先ごろも奈良県の箸墓(はしはか)古墳の築かれた時期が、邪馬台国の女王卑弥呼(ひみこ)の死亡時期とほぼ一致したという研究発表があった。近くで出た土器のすすを最新の分析方法で調べたという。科学の力を借りて、畿内説が勢いを増すのか
邪馬台国とされる地は、畿内や九州だけではない。吉備や出雲、果ては千葉、沖縄を挙げる説まである。結論が出ていないからこそ、かきたてられるロマンもある。
天風録 中国新聞 2009年6月1日
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