2009年05月26日

「自分には厳しく、他人には優しく」地盤のない地域を選び、立候補を続けた・・・ 天風録 八葉蓮華

 国内の葛藤(かっとう)や対立を克服するためには、リンカーンの訴えた「許し合う心」しかない―。韓国の前大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は七年前に出版した著書「韓国の希望 盧武鉉の夢」で、熱く語っていた

 南北戦争のさなかに、敵味方を超えた米国民の融合を説いたリンカーン。分裂の危機にひんした国の統一を守り抜いた。盧氏は選挙に落選したとき、名大統領の演説集に出合い、簡潔で感動的な内容に勇気づけられたという。自ら評伝を書くほどの傾倒ぶりだった

 盧氏も韓国の地域対立をなくそうと、あえて「地盤」のない地域を選び、立候補を続けた。貧しい農家で生まれ、高校卒業後、司法試験に十年かけて合格。やがて弁護士から政界へ。そんな歩みも、リンカーンと二重写しになる

 突然の悲報に、驚いた人も多かろう。退任後、後援者から妻らに巨額の金が渡ったとの疑惑が持ち上がった。検察に事情を聴かれ、追い詰められていたのだろうか。国民統合の夢も、道半ばでついえてしまった

 一徹さを貫き、韓国に新時代を開いたことは間違いあるまい。「自分には厳しく、他人には優しく」が、座右の銘だったという。遺書には「私のせいで多くの人が受けた苦痛はとても大きい」と、つづられていた。胸の内を明かしてほしかった。

 天風録 中国新聞 2009年5月25日
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千年前と同じような風景「壬生の花田植」水田の風景・・・ 天風録 八葉蓮華

 平安貴族の藤原道長が、娘に田植えを見物させたことがあった。化粧をして白いかさをかぶった女性が五十人ばかり。その後ろの田楽団は「鼓、腰に結ひつけて笛吹き、ささらといふ物突き、歌うたひ…」

 「栄華物語」が描く当時の田植えである。千年前と同じような風景が今も見られるのは、驚きといっていい。広島県北広島町の「壬生の花田植」が、ユネスコの「世界無形文化遺産」の候補に選ばれた。来年には登録の見込みだ

 田の神にささげたのが始まりという。飾り立てられた牛が、代かきをする。続いてささらを持った「さんばい」の歌が始まり、田楽のはやしに合わせて早乙女が苗を植えていく。太鼓の打ち手の踊るような動きは、まさに「心地よげに誇りて」という表現そのままだ

 竹を細かく割ったのが「ささら」。田植えの指揮を執るのが「さんばい」。しかし説明を聞いてもイメージしにくいだろう。それだけ花田植の世界は、多くの人にとっては遠いものになった

 減反が続く中で、田といっても昔ほどのありがたみはない。都市に住んでいれば水田の風景さえ見えない。米は普通に食べられる。だからこそ、かすかな不安がある。もう一度、花田植に込められた心をみつめてみたい。今年の開催日は六月七日である。

 天風録 中国新聞 2009年5月24日
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