切って器や、花入れに。細く割って編めば、かごになる。この季節はタケノコがごちそうだ。ところが最近は中国産やプラスチック製に押されて、竹やぶの手入れもされなくなった。地下茎を伸ばして勢力圏をどんどん広げる竹は、今や山の厄介者扱いだ
かつて、すだれや和傘などよろずの竹細工が盛んだった萩市でも、事情は同じ。しかしこれではもったいないと、商工会議所などが考えた。定評のあるフィンランドのデザイナーの力を借りて「竹100%」の家具が作れないかと
集成材の板にする。それを自在に曲げる。難しかったが、地元が知恵を絞った。五年がかりで、優しい曲線を見せる食卓やいすが商品化される。米国から昨年入ったのは、いす四千脚の注文。「おくりびと」が受賞したアカデミー賞の会場でも使われたという
竹の中から翁が見つけたかぐや姫は、手塩にかけて育てられ、最後には月に昇っていった。日本の「竹の技」もまた世界へ飛び立つ。涙で袖をぬらした翁と違い、萩の人たちの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。
天風録 中国新聞 2009年5月20日
創価学会 地球市民 planetary citizen 仏壇 八葉蓮華 hachiyorenge
ラベル:天風録