2009年05月21日

日本の「竹の技」勢力圏をどんどん広げる竹は、今や山の厄介者扱い・・・ 天風録 八葉蓮華

 日本最古の物語の冒頭に、竹が出てくる。「野山にまじりて竹を取りつつ、よろづの事に使ひけり」。ご存じ「竹取の翁(おきな)」のお話である。千年以上も前から、竹は日本人の暮らしに溶け込んでいた

 切って器や、花入れに。細く割って編めば、かごになる。この季節はタケノコがごちそうだ。ところが最近は中国産やプラスチック製に押されて、竹やぶの手入れもされなくなった。地下茎を伸ばして勢力圏をどんどん広げる竹は、今や山の厄介者扱いだ

 かつて、すだれや和傘などよろずの竹細工が盛んだった萩市でも、事情は同じ。しかしこれではもったいないと、商工会議所などが考えた。定評のあるフィンランドのデザイナーの力を借りて「竹100%」の家具が作れないかと

 集成材の板にする。それを自在に曲げる。難しかったが、地元が知恵を絞った。五年がかりで、優しい曲線を見せる食卓やいすが商品化される。米国から昨年入ったのは、いす四千脚の注文。「おくりびと」が受賞したアカデミー賞の会場でも使われたという

 竹の中から翁が見つけたかぐや姫は、手塩にかけて育てられ、最後には月に昇っていった。日本の「竹の技」もまた世界へ飛び立つ。涙で袖をぬらした翁と違い、萩の人たちの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。

 天風録 中国新聞 2009年5月20日
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ラベル:天風録
posted by 蓮華 at 22:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 天風録 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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