ばらの町・福山には「鞆の浦」や「芦田川」といったご当地品種がある。ただ、もう一つのシンボル、福山城にちなんだものはなかった。色や姿が派手なバラは、洋風の建物にマッチする。お城という和の景観にはなじまないのでは、と思われていたからだろうか
そんな心配をぬぐい去るような新しい品種が、今年デビューする。その名も「福山城」。紫がかった淡いピンクの大輪で、花びらが剣先を連想させるようにとがっている。控えめでありながら、そこはかとなく漂う気品。石垣が美しい名城の傍らに置いてもよく似合いそうだ
園芸種のバラは西洋生まれだが、それを支えるのは、生命力の強い日本産のノイバラだ。十九世紀に欧米人が持ち帰り、接ぎ木の土台に活用した。ノイバラは今も芦田川の河岸に自生している。福山に城ができたころ、周りの湿地でも素朴な白い花が見られただろう
新しいバラは、きょうからの「福山ばら祭」で披露される。和と洋が交わるストーリーにも思いをはせてみたい。
天風録 中国新聞 2009年5月16日
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