「洗練」や「スマート」とは縁遠い。立ち上がるのは土俗臭だ。輸入された「近代」に懐疑的だった。日本のアンダーグラウンドから忘れていたものを取り出して、人々をあっと言わせた
においがやや変わったのは一九八〇年代から。「私の国では鳥はピース、ピースと鳴くのです」。スペインのチェロ奏者、カザルスの言葉に啓示を得る。そのころ描いたのが「ヒロシマ・アピールズ」二作目のポスターだ。画面いっぱいにたくさんのカラフルな鳥がはばたこうとしている
粟津さんの訃報(ふほう)が届いた。振り返れば今年、三作目の福田繁雄さん、四作目の早川良雄さんと草創期のメンバーが相次いでこの世を去った。それだけ「アピールズ」が年月を刻んだ証しでもあろうが…
これまでの作品をあらためて眺めてみる。作者は亡くなっても、作品のメッセージは今なお新しい。強烈だった粟津さんのにおいを惜しみつつ、これからどんな個性が「ピース」を描き継いでいってくれるのだろうかと思う。
天風録 中国新聞 2009年5月3日
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