2009年05月11日

着地型「スローツーリズム」知らない生活に触れれば、興味がわく・・・ 天風録 八葉蓮華

 「着地」型の観光というのがあるそうだ。これまでのツアーの多くは都会の旅行会社が企画し、広告で集めた客を送り込むパターン。つまり「発地」型だった。その逆で、受け入れ側が地域資源をネタにプランを練り、客を呼ぶ

 「スローツーリズム」と銘打って、中国運輸局が各地の例を紹介している。山あいの隠れ里で、あい染めや炭焼きをやってみる。石見神楽の里で、面の絵付けや紙すきを教えてもらう。海辺の町では、魚のおろし方の手ほどきを…

 キーワードは「体験」や「小人数」だろう。知らない生活に触れれば、興味がわく。話も弾んで、それが思い出として刻まれる。「旅の充実度は、地域の人との会話の長さに比例する」というのは、古賀学松蔭大教授の説である

 団体ツアーは、安くて効率的に観光スポットを回ることができる。だから人気は根強い。ただ地元の人と立ち話をする余裕はなく、迎える側も営業用の会話になりがち。そのすき間から生まれたのが、着地型だろうか

 旅の達人、永六輔さんが書いている。「客に育てられる宿があり、宿に育てられる客があるように、よい旅は両者がつくり出すもの」。宿は「迎える側」と言い換えられる。スローツーリズムとは、ゆったりと足を地に着けた旅の姿でもあろう。


 天風録 中国新聞 2009年5月10日
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2009年05月10日

まちおこし「ひげサミット」個性的なひげの持ち主がずらりと並ぶ・・・ 天風録 八葉蓮華

 あごひげや口ひげ。髪の毛を顔に巻いて、ひげに見立てた女性もいる。下松市で開かれた「ひげサミット」。集まったひげ自慢は、岩国基地の米兵、広島県に住むインド人と国際色も豊かだった

 下松市出身の長岡外史は「プロペラひげ」で知られた。軍人で、スキーや飛行機を普及させた人。鼻の下にピンと伸びた「両翼」は約七十センチもあったという。それにちなんだ初のイベントだ。わが鼻の下にもささやかに生えているだけに親近感もわく

 明治時代、西洋での流行もあって各界の「大物」たちはひげを蓄えた。お札の肖像を思い出す。今でこそチョビひげの野口英世だけだが、これまでは夏目漱石、板垣退助、伊藤博文ら個性的なひげの持ち主がずらりと並ぶ

 政治家や役人が好んだというから、力や権威を表す面も強かったのだろう。だからこそあえて生やさなかった人もいる。早稲田大学を創設した大隈重信。「ひげは戦争の道具のようなもの」と嫌った

 サミットでは山口県のIターン農家が優勝した。イラク戦争が始まり「市民が巻き込まれる悲劇を忘れない」と伸ばし始めたという。反戦と言えばヒッピーのひげもそうだった。時代の思いを映すひげ。「平和」「まちおこし」にも活用されようとは、明治の人も思いもよらなかっただろう。

 天風録 中国新聞 2009年5月9日
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2009年05月09日

「アラフォー」考え方や人生観は落ち着いて、人間的にもスケールが大きくなる・・・ 天風録 八葉蓮華

 「王貞治のバッティングができなくなった」。名言を残して世界のホームラン王が引退したのは四十歳の時だった。今から二十九年前である。この年齢までよく頑張ったよ、というのが当時の人たちの受け止め方だったろう

 同じ四十歳で「これから」というのは、元カープ投手で今は米大リーグメッツの高橋建さんである。中継ぎでの初マウンド。満塁を併殺で切り抜け、2回2/3を零点に抑えた。きょうの先発予定が流れたのは残念だが…

 小児ぜんそくに苦しみ、プロ入り後も、夏には体調を崩しがちだった。健康には人一倍気を使い、その分、選手生命が伸びたのだろう。「自分の力が通用するか試したい」という夢を実現させた。ファンは「緩急自在」の左腕に期待する

 四十歳を「不惑」と呼ぶ。考え方や人生観は落ち着いて、人間的にもスケールが大きくなる。そんなイメージだ。バットを置く。新たに挑戦する。いずれも迷いのない決断だったように見える

 もちろん不惑の人ばかりではない。流行語大賞になった「アラフォー」。節目の年を前にして生き方に迷う女性のドラマから広がった言葉だ。孔子の時代から二千五百年。寿命もずいぶん延びた。惑いの中にいながら、建さんのピッチングに、自分を重ねる人もいるだろうか。

 天風録 中国新聞 2009年5月8日
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2009年05月08日

「端午の節句」夏への変わり目。急に暑くなるせいもあり病気にかかりやすい・・・ 天風録 八葉蓮華

 日本の風習と中国大陸から伝わった暦が合体して生まれた節句。きのうは五月はじめ(端)のウマ(午)の日、端午の節句だった。それが、中国古代の悲劇の政治家で詩人でもあった屈原に由来することは、あまり知られていないようだ

 約二千三百年前の戦国時代、楚の重臣だった屈原。国の将来を思って強大な秦に抵抗するが、謀略で政界を追われ、失意のまま川に入水してしまう。亡きがらを守るため、住民らはササで巻いた飯を魚の餌として投げ込んだという。その命日が五月五日だった

 ちまきを川に投げ入れ、国を憂えた先人を供養する祭りは中国全土に広がる。やがて日本にも伝わり端午の節句に。ちょうど夏への変わり目。急に暑くなるせいもあり病気にかかりやすい。ヨモギやショウブの葉で厄よけをし、ちまきを食べ、健康を願う風習に次第に変化したらしい

 メキシコ発の新型インフルエンザが今、世界中を不安に陥れている。日本でも感染の疑いのある例は次々出るが、何とか侵入を阻んでいる。安らかな暮らしへの思いは、古今東西変わらない

 この先、警戒水準が最悪にまでならないよう、世界の感染の広がりも止めたい。南半球ではこれから冬に向かう。そのうちグローバル版の「節句」も生まれるかもしれない。

 ▲天風録 中国新聞 2009年5月6日
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2009年05月06日

大型連休「千円で何処へ」大渋滞、移動だけに時間を費やす・・・ 天風録 八葉蓮華

 「千円で何処(どこ)へ行くかが決まらない」。こんな川柳をインターネットサイト「憩いの喫茶店」で見つけた。千円で乗り放題なら、いっそどこか遠くまでと思うのが人情なのだろうか。地元の山陽自動車道も大型連休中、関東ナンバーの車が目立つ

 多いのが、のろのろ走行が引き起こす追突事故だ。その処理による渋滞に巻き込まれた。車列がぴたっと止まり、前方に事故情報の掲示。歩くぐらいの速さで動きだしたと思うとまたすぐ止まる。逃げ道がないのが高速道路の泣きどころだ

 シートを後ろに倒し、腰を伸ばした。隣の車線の子ども連れもぐったりした様子だ。疲れると、ささいなことでも口論になりがち。そういえば大渋滞に遭った家族模様をテーマにした映画もあったっけ…。そんな記憶をたどりながら時間をやり過ごした

 千円高速で行楽地は近くなったが、途中の渋滞を抜けるのが大変だ。先のサイトに「千円で高速ばかりの二日間」というのもある。移動だけに時間を費やすのは心豊かな過ごし方とは言えまい。車中の口論は家族のほろ苦い思い出になるかもしれないが

 連休もあと二日。「どこか遠く」の発想から離れ、ゆったりとした気分で足元を眺めれば、意外な発見もあるのではないか。新緑や花そして祭りも待っている。

 天風録 中国新聞 2009年5月5日
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2009年05月05日

歌う観光大使「ご当地ソング」今年は『安芸の宮島』・・・ 天風録 八葉蓮華

 ♪安芸の宮島/弥山(みせん)に立てば/瀬戸は引き潮/涙でかすむ―。きのう開幕したひろしまフラワーフェスティバルで熱唱したのは、演歌界の新世代を代表する水森かおりさん。おなじみの場所なのに、旅情をそそられるから不思議だ

 フルコーラスを歌い切った新曲のタイトルは、ずばり「安芸の宮島」。断ちがたい未練を胸に、ひとり旅に出た女ごころを宮島の風景に重ねる。四月の発売開始から三週にわたって、オリコンの総合チャートでベスト10入りしたほどの人気らしい

 二〇〇三年に「鳥取砂丘」でブレーク。以来、釧路湿原や熊野古道、輪島朝市といった観光名所を舞台にした曲を、立て続けにヒットさせた。なるほど、「ご当地ソングの女王」「歌う観光大使」と呼ばれるだけのことはある。大みそかの紅白にも六年連続で出場している

 ご当地ソングといえば、広島は「不毛の地」といわれてきた。京都や長崎と違って、すぐ思い浮かぶようなヒット曲はない。そうはいっても、広島にちなんだ歌は昭和以降だけで四百曲を下らないそうだ

 宮島をはじめ鞆の浦や中国山地、太田川…。恵まれた自然に、全国有数の盛り場・流川もある。「今年は『安芸の宮島』で紅白を狙いたい」と力強く宣言した水森さん。頼りにしてますよ。

 天風録 中国新聞 2009年5月4日
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2009年05月04日

「ヒロシマ・アピールズ」たくさんのカラフルな鳥がはばたこうとしている・・・ 天風録 八葉蓮華

 粟津潔さんのデザインにはどこかアングラのにおいが漂っていた。手掛けたのは、小劇団や前衛的な映画のポスターである。大きな目や胎児。カラスやウミガメ。指紋や手相…。さまざまなものが浮遊しているような不思議な世界である

 「洗練」や「スマート」とは縁遠い。立ち上がるのは土俗臭だ。輸入された「近代」に懐疑的だった。日本のアンダーグラウンドから忘れていたものを取り出して、人々をあっと言わせた

 においがやや変わったのは一九八〇年代から。「私の国では鳥はピース、ピースと鳴くのです」。スペインのチェロ奏者、カザルスの言葉に啓示を得る。そのころ描いたのが「ヒロシマ・アピールズ」二作目のポスターだ。画面いっぱいにたくさんのカラフルな鳥がはばたこうとしている

 粟津さんの訃報(ふほう)が届いた。振り返れば今年、三作目の福田繁雄さん、四作目の早川良雄さんと草創期のメンバーが相次いでこの世を去った。それだけ「アピールズ」が年月を刻んだ証しでもあろうが…

 これまでの作品をあらためて眺めてみる。作者は亡くなっても、作品のメッセージは今なお新しい。強烈だった粟津さんのにおいを惜しみつつ、これからどんな個性が「ピース」を描き継いでいってくれるのだろうかと思う。

 天風録 中国新聞 2009年5月3日
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2009年05月03日

「備えよ、常に」街中すべてがマスク姿ではぞっとする・・・ 天風録 八葉蓮華

 世界的大流行は「パンデミック」、警戒水準は「フェーズ」。新型インフルエンザの拡大を受けて、二つの用語がにわかに注目を浴びている。今年の流行語大賞の候補に、という気の早い意見も

 世界保健機関は、六段階のフェーズをパンデミックの一つ手前の5に引き上げた。どこまで被害が広がっていくのか、カタカナ用語だと、より不安が増すような感じがする。なにしろ九十年前のスペイン風邪では、四千万人もの死者を出しているだけに恐怖が募る

 スポーツ大会が延期になるなど影響も広がる一方だ。永田町では「解散・総選挙どころではない」との声も出始めた。折しもゴールデンウイークの最中である。人込みは避けたいが、現時点で過度に恐れる必要もないだろう

 物理学者で随筆家、寺田寅彦の防災格言がある。「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしい」。正しく恐れる冷静さが大切だ。予防のためには、手洗い、うがい、マスクの着用といった当たり前の対策を心掛けたい

 とはいっても、街中すべてがマスク姿ではぞっとする。いつでもできるように持参して行楽地などに出かける、というのはどうだろう。「備えよ、常に」も防災格言である。

 天風録 中国新聞 2009年5月2日
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2009年05月02日

流れ流れて黒潮に乗り「漂着ごみ」海へとつながっている・・・ 天風録 八葉蓮華

 キラッ、キラッと銀色に光りながら、群青の海面すれすれに飛ぶものがある。客船のデッキから目を凝らすと、トビウオだった。黒潮に乗って、魚群が日本の近海に北上してくるシーズンだ

 トビウオに目がないのが海鳥のコアホウドリ。キラッと光るものを見たら、つい「好物が来た」と勘違いするのだろうか。太平洋の真ん中で、漂流する使い捨てライターをのみ込む例が増えているという。日本から東へ約四千キロ。世界一の繁殖地として知られる米国ミッドウェー島周辺でのことである

 ひな鳥は、餌を親鳥から口移しでもらう。魚やイカと一緒に異物が流し込まれ、胃にたまる。満腹感が消えずに食欲が落ちていき、ついには栄養失調となってしまう。死骸(しがい)からは日本製ライターがよく見つかる

 日本海の沿岸でも一九九〇年代から、漂着ごみがめっきり増えた。中にはハングル表記や簡体字の物も。始末に必要な費用は数十億円とも見積もられる。沿岸自治体の負担を和らげる議員立法の準備が今、国会で進んでいる

 身の回りの排水溝も川も、海へとつながっている。何げなく捨てたプラスチックごみやレジ袋が風に吹かれ、流れ流れて黒潮に乗り、コアホウドリの島まで流れ着くとしたら…。そんな「加害者」にはなりたくない。

 天風録 中国新聞 2009年5月1日
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2009年05月01日

木陰で人が一息つく「休」の語源、体力回復の呪文ホイミ・・・ 天風録 八葉蓮華

 首都圏で経営コンサルタントをしている知人から、こんな話を聞いた。「中小企業で月曜や金曜を休みにして、研修するところが増えた。おかげですごく忙しい」

 金融危機に伴う景気の後退から何とか雇用を守ろうと、昨年末にできた休業手当の助成制度のせいらしい。働いてもらおうにも、受注減で仕事がない。その分、社員に休んでもらってしのぐ仕組み。きのうの連合のメーデー集会でも、雇用の不安が大きなテーマだった

 ゴールデンウイークに入った。会社の休みが増えている人にとって、思いは複雑だろう。例年のように海外脱出する人々も、今年はメキシコ発の新型インフルエンザで、いきなり水を差された形だ。団塊世代の定年退職組の中には「何にしてもまずは体力」と、ジムで汗を流す姿も目立つ

 テレビゲームの「ホイミ」という体力回復の呪文(じゅもん)を思い出す。「休ミ」という字形を分解し並べ替えた造語らしい。広島などでも近年、一カ月近い大型休暇が取れる中小企業も出てきた。プロの料理人が、休み中は主夫業に専念し、子どもに「お父さんの弁当はおいしい」と感激されたという話も

 「休」の語源は、木陰で人が一息つくことという。「働」モードから切り替え、呼吸を整えるのも人間の営みに違いない。

 天風録 中国新聞 2009年4月30日
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