2009年05月31日

全国に発した宣言「ひとまず安心」どうぞ安心してお越しを・・・ 天風録 八葉蓮華

 「空は青いです。みんな見えてますか?同じ空の下にいます。応答せよ」。新型インフルエンザで休校している神戸市の高校で、担任が自宅待機の生徒に送った一斉メールの一つだ

 四十人以上の患者が出た。症状は軽かったが、約二週間の休校に。中間試験を控えて、家でどうしているだろう。先生も不安だったはずだ。そこで役立ったのが携帯メールである。担任全員がメッセージを送った

 生徒からは続々と返事が届く。家族とたくさん話ができてよかった。部活ばかりだったけど「世間」に目を向けることができた…。「行間から隠れた個性が伝わってきた」という先生もいる。思わぬプラス効果も生んで、この学校はきょう授業を再開する

 「ひとまず安心」のメッセージを発したのは神戸市長だ。国内感染の第一号が出たと報じられてから、観光の人波がぱったり途絶えた。泊まりのキャンセルだけで損害は七億円という。インフルエンザによる地域経済へのマイナス効果は計り知れない

 「ひとまず」は、市民向けという以上に、全国に発した宣言に聞こえる。感染は終息に向かっています。神戸はもう大丈夫、どうぞ安心してお越しを―と。業界は出血覚悟の宿泊プランも打ち出しているという。応答してみたい気分になってくる。

 天風録 中国新聞 2009年5月30日
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2009年05月30日

辛口はすいすい飲めて、不況時には財布に負担がかかる・・・ 天風録 八葉蓮華

「甘みを感じる酒が増えた気がする」「不景気のせいもあるのだろうか」。東広島市であった全国新酒鑑評会で、そんなやりとりが聞こえてきた。日本酒の甘辛と景気とは関連がある?

 そういえばバブル景気のころ「淡麗辛口」が全盛だったことを思い出す。水のようにさわりがない、ともてはやされる酒もあった。その後「失われた十年」を経て、再びトンネルの中。酒はなぜ変わったのだろう

 景気が悪いと「アテは辛いものをちょっと」となりやすい。だからバランスをとって甘い酒が好まれる―というのは、昔からの説だ。辛口はすいすい飲めて、不況時には財布に負担がかかる。そこで「量を抑えるために甘口」説も分かりやすい

 それ以上に「マインド」もあるに違いない。ほんのりとした甘みには、包み込まれるような快さがある。体だけでなく心の疲れをも取ってくれそうだ。辛(つら)い時代に辛口はちょっと…という気分が広がったとしてもおかしくない

 景気が底を打つ兆しが見える。輸出が持ち直し、在庫も減っている。マツダは来月から工場休業をやめ、トヨタは残業を再開する。ただ一九九〇年代の日本では、何回か「偽りの夜明け」(白川方明日銀総裁)を本格回復と見誤ったことがある。景気の判断だけは甘口に傾いてはなるまい。

 天風録 中国新聞 2009年5月29日
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2009年05月29日

豊かだけど寂しくもある時代「作詩家」五七調の折り目正しい詩の数々・・・ 天風録 八葉蓮華

 石本美由起さん直筆のはがきが手元の切り抜きファイルにある。肩書は作詞家ではなく「作詩家」だ。一編の詩ともいえる歌詞を生み続けた誇りが、丸っこい筆跡から伝わってくる

 北原白秋やハイネの詩を読みふけった青年時代。大竹市の生家から瀬戸内海が望めた。そこから生まれたのが、♪晴〜れた空…と岡晴夫が歌う「憧(あこが)れのハワイ航路」だ。キラキラ光る海の明るさが、戦後間もないころのヒット曲によく似合う

 口ずさんでみると、歌い出しは朗らかな「ア」の響きが心地よい。♪な〜がい旅路の…と始まる美空ひばりの「港町十三番地」もそうだ。石本さんは幼いころ、ぜんそくの発作に悩まされた。いつか大きく口を開け、思いっきり息をしたい―。「ア」列の音には、そんな願いがこもっているのかもしれない

 自由な空気を胸いっぱい吸うだけで幸せだったころから、豊かだけど寂しくもある時代へ。古里ではぐくまれた詩心は、歌姫ひばりという伴走者も得た。こぼれた哀歓をすくい、「悲しい酒」などの名曲を世に送る

 平成の世となり、歌詞を後回しにする「メロ先」の曲作りが全盛だ。八十五歳で死去した石本さんの口癖は「演歌こそ心の古里」だった。五七調の折り目正しい詩の数々。遠くなった昭和が行間からよみがえってくる。

 天風録 中国新聞 2009年5月28日
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2009年05月28日

青春の叫び「十七歳の輝き」子どもから大人へのはざまで・・・ 天風録 八葉蓮華

 二十六歳で早世した歌手、尾崎豊さんのファーストアルバムは「十七歳の地図」。無名に近い高校生だった。収められた十曲を聴くと、甘い声の中に哀愁があって、胸が切なくなってくる

 愛や夢を追い求めながら、もがき苦しむ青春の叫びが聞こえてくるようだ。子どもから大人へのはざまで揺れる年ごろ。九年前、バス乗っ取りなどの凶悪事件を相次いで起こし、十七歳が注目を浴びたことがある。一つ間違えれば、という不安が付きまとう

 一方で、選んだ道と才能がうまく結びつけば、周りも驚くような飛躍を遂げる時期でもある。岡山市の高校三年、多田遼太郎さんが史上最年少で囲碁の中国本因坊に就いた。せんだっての本因坊戦三番勝負では相手を力でねじ伏せ、タイトルを獲得した

 どんな形勢になってもポーカーフェースを崩さない。その冷静沈着さには観戦記者も舌を巻いた。十七歳といえば、将棋のタイトル「倉敷藤花」を持つ出雲市の女流棋士、里見香奈さんもいる。ゴルフの石川遼さん、大衆演劇の早乙女太一さんの活躍ぶりはすっかりおなじみだ

 共通しているのは、技や芸を吸収する「素直さ」と、若さに似合わぬ「落ち着き」だろう。十七歳の輝きが、世の閉塞(へいそく)感を少しでも吹き飛ばしてくれれば、と願う。

 天風録 中国新聞 2009年5月27日
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2009年05月27日

飢えた民をほったらかしにして突き付けた危険極まりない「届かない」ラブレター・・・ 天風録 八葉蓮華

 好きな子にちょっかいを出す。わざといたずらをしてみる。子どもの世界ではよくあることだ。文字にならないラブレター。でもその気持ちは、まず届かない。男性なら、ほろ苦く酸っぱい思い出の一つや二つはあろうか

 北朝鮮が二回目の地下核実験をした。核放棄を話し合おうという六カ国協議のテーブル。そこに背を向けての強行である。実はオバマ米大統領への「ラブレター」という見方もあるようだ

 北朝鮮が何よりも望んでいるのは「独裁体制の保証」とされる。そのためには、保証人になってほしい米国とサシで交渉しなければならない。しかし米国は「まず六カ国の枠で」。それならば、と強く出たという

 子どもは「試し行動」をするといわれる。わざと言うことを聞かなかったり、嫌がることをしたりして、どこまで相手が耐えてくれるかを試す。「本当に守ってくれる人」かどうかを確かめるリトマス試験紙なのだろう。北朝鮮の外交は政略的で各国を翻弄(ほんろう)しているように見えながら、子どもじみてもいる

 あれだけの資金があったら、一年間の食糧難を解消できるのに…。先だってのミサイルの実験の際に言われた言葉だ。飢えた民をほったらかしにして突き付けた危険極まりないラブレター。誰が受け取る気になるだろう。

 天風録 中国新聞 2009年5月26日
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2009年05月26日

「自分には厳しく、他人には優しく」地盤のない地域を選び、立候補を続けた・・・ 天風録 八葉蓮華

 国内の葛藤(かっとう)や対立を克服するためには、リンカーンの訴えた「許し合う心」しかない―。韓国の前大統領、盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏は七年前に出版した著書「韓国の希望 盧武鉉の夢」で、熱く語っていた

 南北戦争のさなかに、敵味方を超えた米国民の融合を説いたリンカーン。分裂の危機にひんした国の統一を守り抜いた。盧氏は選挙に落選したとき、名大統領の演説集に出合い、簡潔で感動的な内容に勇気づけられたという。自ら評伝を書くほどの傾倒ぶりだった

 盧氏も韓国の地域対立をなくそうと、あえて「地盤」のない地域を選び、立候補を続けた。貧しい農家で生まれ、高校卒業後、司法試験に十年かけて合格。やがて弁護士から政界へ。そんな歩みも、リンカーンと二重写しになる

 突然の悲報に、驚いた人も多かろう。退任後、後援者から妻らに巨額の金が渡ったとの疑惑が持ち上がった。検察に事情を聴かれ、追い詰められていたのだろうか。国民統合の夢も、道半ばでついえてしまった

 一徹さを貫き、韓国に新時代を開いたことは間違いあるまい。「自分には厳しく、他人には優しく」が、座右の銘だったという。遺書には「私のせいで多くの人が受けた苦痛はとても大きい」と、つづられていた。胸の内を明かしてほしかった。

 天風録 中国新聞 2009年5月25日
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千年前と同じような風景「壬生の花田植」水田の風景・・・ 天風録 八葉蓮華

 平安貴族の藤原道長が、娘に田植えを見物させたことがあった。化粧をして白いかさをかぶった女性が五十人ばかり。その後ろの田楽団は「鼓、腰に結ひつけて笛吹き、ささらといふ物突き、歌うたひ…」

 「栄華物語」が描く当時の田植えである。千年前と同じような風景が今も見られるのは、驚きといっていい。広島県北広島町の「壬生の花田植」が、ユネスコの「世界無形文化遺産」の候補に選ばれた。来年には登録の見込みだ

 田の神にささげたのが始まりという。飾り立てられた牛が、代かきをする。続いてささらを持った「さんばい」の歌が始まり、田楽のはやしに合わせて早乙女が苗を植えていく。太鼓の打ち手の踊るような動きは、まさに「心地よげに誇りて」という表現そのままだ

 竹を細かく割ったのが「ささら」。田植えの指揮を執るのが「さんばい」。しかし説明を聞いてもイメージしにくいだろう。それだけ花田植の世界は、多くの人にとっては遠いものになった

 減反が続く中で、田といっても昔ほどのありがたみはない。都市に住んでいれば水田の風景さえ見えない。米は普通に食べられる。だからこそ、かすかな不安がある。もう一度、花田植に込められた心をみつめてみたい。今年の開催日は六月七日である。

 天風録 中国新聞 2009年5月24日
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2009年05月24日

「生きさせろ」厳しい就職戦線はじき出される、人格否定・・・ 天風録 八葉蓮華

 地下鉄で女子学生がゲーム機に向かって、一心不乱に指を動かしていた。就活中らしいスーツ姿。いかにもアンバランスな光景だった。ただ今年の就職の厳しさ。つかの間の息抜きだったのだろうか、と思い直してみる

 昨年ならこの時期には出ていた内定が、なかなか出ない。都内の私立大の就職担当者は「学生に疲れが見える」と話す。多くの企業がはなから新卒を採らなかったのが就職氷河期。ところが今年は、ごく少数に絞って採用しようとしている。競争はむしろ熾烈(しれつ)になろう

 人材を育成する余裕がなくなっている企業。「現場ですぐ役に立ちそうな人」探しに躍起だ。そこでアピールするのは学生時代の専攻やサークル活動などでの「実績」。息を詰めたようなやりとりが続く

 就職は、いわばいす取りゲームである。しかし世界的な不況のせいで「正社員」といういすの数が足らない。誰かがはじき出されるのが前提になっている。そこで敗れてしまったら…

 「厳しい就職戦線で百社も落ちるという経験は究極の人格否定」と雨宮処凛さんが書いている(「生きさせろ」)。氷河期をくぐった世代を代弁する作家の言葉は、ずしりと響く。地下鉄の学生はどうしているだろう。ゲーム機でせめて心のバランスを取っているだろうか。

 天風録 中国新聞 2009年5月23日
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2009年05月23日

裁判員に期待されているのは「市民感覚」生活風景もぴりぴりしてくる・・・ 天風録 八葉蓮華

 壇上には、紋付きはかまやモーニング姿の十二人がかしこまった。威風堂々たる正装である。今から八十一年前の広島地裁。民間人が審理に加わる「陪審員裁判」が、初めて開かれた

 酒に酔って日本刀でいとこに切りつけたという事件。しかし陪審員の表情は硬く、当時の本紙は「木彫りの人形のよう」と書いている。質問を促されても、顔を見合わせて黙り込んだという。よほど緊張したのだろう

 大正デモクラシーのうねりから生まれた。一定額以上の男子納税者、との制限はあったが、画期的な制度。なじんでくるうちに、当初のようなこちこち状態もほぐれてくる。評議にも熱が入り、放火犯とされた青年を激論の末に無罪とした例もあったという

 裁判員制度が始まった。一般にはまだ関心は高くない。関連本コーナーを設けた書店でも、思ったほどは売れていないそうだ。しかし候補に選ばれた人は、こちこちとまではいかなくても、ぴりぴりしているだろう

 裁判員に期待されているのは「市民感覚」という。とすれば「威厳」は求められないのだろうか。それなら服装はTシャツにジーパンでも? ただ場の雰囲気や、判決を言い渡される被告の気持ちを考えたら…。七月にも予想される第一号の法廷風景がちょっと気になる。

 天風録 中国新聞 2009年5月22日
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2009年05月22日

ハイブリッド効果、足し算がかけ算になって、優れものに転じる・・・ 天風録 八葉蓮華

 「ハイブリッド車」が人気だ。馬力のあるガソリンエンジンと、静かな電気モーターの巧みな合体。しかも燃費がいいときている。エコカー減税の追い風もあって、新車販売レースを快走している

 異種のものが合わさって生まれる際立った個性。政治家で言えば、オバマ大統領だろうか。父はケニア人、母は米国人で、育ったのはインドネシア。そうした背景から文化や宗教の壁を乗り越えようとする姿勢は、ハイブリッドそのものだ

 さまざまな出身母体の人たちが集まっている日本の民主党。にこやかに握手してみせた新しい執行部の面々が思い浮かぶ。元をたどっていけば「保守」から「革新」までの幅の広さ。多士済々だが、こちらはハイブリッド、それとも単なる寄せ集め?

 自民と公明の「連立」はどうだろう。合体こそしていないが、双方の特質を生かし合うようなハイブリッド効果も、期待されたはず。この十年、選挙協力については、かなりうまく発揮できたようではあるが

 足し算がかけ算になって、優れものに転じる。それがハイブリッドかもしれない。強烈な求心力や媒介があってこそ、初めて誕生する。近づく政権選択の選挙を前に「ハイブリッ度」が高まるのはどちらか。仕業点検の進み具合も気になる。

 天風録 中国新聞 2009年5月21日
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2009年05月21日

日本の「竹の技」勢力圏をどんどん広げる竹は、今や山の厄介者扱い・・・ 天風録 八葉蓮華

 日本最古の物語の冒頭に、竹が出てくる。「野山にまじりて竹を取りつつ、よろづの事に使ひけり」。ご存じ「竹取の翁(おきな)」のお話である。千年以上も前から、竹は日本人の暮らしに溶け込んでいた

 切って器や、花入れに。細く割って編めば、かごになる。この季節はタケノコがごちそうだ。ところが最近は中国産やプラスチック製に押されて、竹やぶの手入れもされなくなった。地下茎を伸ばして勢力圏をどんどん広げる竹は、今や山の厄介者扱いだ

 かつて、すだれや和傘などよろずの竹細工が盛んだった萩市でも、事情は同じ。しかしこれではもったいないと、商工会議所などが考えた。定評のあるフィンランドのデザイナーの力を借りて「竹100%」の家具が作れないかと

 集成材の板にする。それを自在に曲げる。難しかったが、地元が知恵を絞った。五年がかりで、優しい曲線を見せる食卓やいすが商品化される。米国から昨年入ったのは、いす四千脚の注文。「おくりびと」が受賞したアカデミー賞の会場でも使われたという

 竹の中から翁が見つけたかぐや姫は、手塩にかけて育てられ、最後には月に昇っていった。日本の「竹の技」もまた世界へ飛び立つ。涙で袖をぬらした翁と違い、萩の人たちの喜ぶ顔が目に浮かぶようだ。

 天風録 中国新聞 2009年5月20日
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2009年05月20日

自分の口や鼻に触れず、よく手を洗い、人込みを避ければいい・・・ 天風録 八葉蓮華

 スペイン風邪の第二波が日本をのみ込んだ一九二〇年一月、広島市の小学校。かすりの着物の子どもが、黒いマスクを着けて授業を受ける写真が本紙に載っている。「流感の魔の手は学校を襲わんとす」。市内では休校や始業時間繰り下げが相次いだ

 「これをしていれば、かからない」と当時、飛ぶように売れたのがマスクだった。しかし猛威は収まらず、毎日三百人ずつ患者が増え続けた。記事は「効力は如何(いか)にや」と疑問を投げかけている

 関西ではきのう、新型インフルエンザの感染者が高校生を中心に百五十人を突破した。ドラッグストアからは、マスクが消えてしまった。買いに走ったものの手に入らず「出し惜しみか」と声を荒らげる人もいたという

 マスクが本来必要なのは、せきをしている人が「うつさない」ため。それが、いつの間にか「うつらない」ための手だてと受け止められるようになった。通勤の際などには必ず着用を、とお触れを出した会社もある

 ただ世界保健機関(WHO)も「予防にマスクを」と勧めているわけではない。自分の口や鼻に触れず、よく手を洗い、人込みを避ければいいという。毒性も弱く普通のインフルエンザ並みの身構えで大丈夫ということだろう。「魔の手」には十分、対抗できる。

 天風録 中国新聞 2009年5月19日
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2009年05月19日

坊〜さんがへをこいた「水際」をかいくぐって、日本でも広がろうとしている・・・ 天風録 八葉蓮華

 歌は、ストップウオッチ代わりにもなるらしい。その昔、東広島市安芸津町の酒蔵では、米をとぐ時間を歌で計ったという。♪けさの米とぎゃどなたか誰か かわいい殿御でなけりゃよい。ゆっくり歌って一分弱。それがとぎ水の替え時だった

 はな垂れ小僧たちは、かくれんぼで鬼になった時に唱えた。「だ〜るまさんがこ〜ろんだ」とか「坊〜さんがへをこいた」とか。節回しを付けた十文字が、隠れる側に与えられた時間だった

 米国の子どもは今、手を洗いながら「ハッピーバースデー」を二回歌いなさい、と教わっているそうだ。しっかり洗わないと落ちない新型インフルエンザのウイルス。「最低二十秒は手洗いを」と言われるより、分かりやすい。歌えば楽しくなる

 神戸で、大阪で、新ウイルスの感染者が見つかった。「水際」をかいくぐって、日本でも広がろうとしている。十代以下はかかりやすいとも言われ、親にとっては心配。「手洗いは、だるまさんを二回よ」と言えば、子どもの耳にも入りやすくなるだろうか

 松山市では、お医者さんがこんな歌を作った。♪コンコンゲホゲホ、ハハハハークション せきの出る時ゃマスクする これぞマナーぞな…。歌には「咳(せき)エチケット」も乗せられる。こちらは大人の耳に届けたい。

 天風録 中国新聞 2009年5月18日
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2009年05月18日

ライバルの孫同士が、時を経て対決する・・・ 天風録 八葉蓮華

 世の中には、どうも巡り合わせというものがあるようだ。きのうの民主党代表選。党の再生をかけ鳩山由紀夫氏が新代表に決まったが、この日のトップニュースは新型インフルエンザの国内発生に奪われた

 三年前にも似たようなことがあった。代表に小沢一郎氏を選んだのだが、翌朝の新聞の一面トップは米軍普天間飛行場の移設問題だった。度重なるタイミングの悪さも、政権交代で世直しを目指す党なら、乗り越えるべき試練なのだろうか

 今回は二人の候補とも、一度は代表になった経験者。リベンジを狙う者同士という巡り合わせだった。「ソフトクリームのよう」と頼りなさを評された鳩山氏も、郵政選挙で自民党に手痛い敗北を喫した岡田克也氏も、自身が大きく進化したと強調。だからこそ、党も変えられると訴えた

 軍配は、「友愛」を掲げる鳩山氏に上がった。祖父で、かつて首相を務めた一郎氏が好んで使った言葉という。ちなみに、次の総選挙でぶつかるだろう麻生太郎首相の祖父は吉田茂元首相。自民党が誕生したころのライバルの孫同士が、時を経て対決することにもなりそうだ

 そんな巡り合わせを制するのは、どちらになるのだろうか。決め手になるのは、将来を見通した政策の国民へのアピール度である。

 天風録 中国新聞 2009年5月17日
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2009年05月17日

ばらの町「福山城」接ぎ木の土台は生命力の強い日本産のノイバラ・・・ 天風録 八葉蓮華

 マリリン・モンローやイングリッド・バーグマンがいればモナリザも。バラほど多くの名前がついている花も珍しい。有名俳優から地名までその数はざっと五万とか。品種名と花の姿を見比べるのも、バラ園巡りの楽しみの一つだ

 ばらの町・福山には「鞆の浦」や「芦田川」といったご当地品種がある。ただ、もう一つのシンボル、福山城にちなんだものはなかった。色や姿が派手なバラは、洋風の建物にマッチする。お城という和の景観にはなじまないのでは、と思われていたからだろうか

 そんな心配をぬぐい去るような新しい品種が、今年デビューする。その名も「福山城」。紫がかった淡いピンクの大輪で、花びらが剣先を連想させるようにとがっている。控えめでありながら、そこはかとなく漂う気品。石垣が美しい名城の傍らに置いてもよく似合いそうだ

 園芸種のバラは西洋生まれだが、それを支えるのは、生命力の強い日本産のノイバラだ。十九世紀に欧米人が持ち帰り、接ぎ木の土台に活用した。ノイバラは今も芦田川の河岸に自生している。福山に城ができたころ、周りの湿地でも素朴な白い花が見られただろう

 新しいバラは、きょうからの「福山ばら祭」で披露される。和と洋が交わるストーリーにも思いをはせてみたい。

 天風録 中国新聞 2009年5月16日
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2009年05月16日

人生は思い立ったら旅支度「議員の特権」のにおいがぷんぷんする・・・ 天風録 八葉蓮華

 作家の故斎藤茂太さんは小さいころ、東京から長崎に長旅をした。以来列車のとりこになり、訪れた場所は数知れない。「人生は思い立ったら旅支度」と、生き方をそのままタイトルにしたような本まで書いている

 「向こうには何があるのだろう。もっとうまい食物が、キレイな女性がいるかもしれない」。その好奇心が、旅に突き動かされる原点と分析する。向こうに、落ち合う人がいれば、さらに心がはやるに違いない

 鴻池祥肇官房副長官は、参院本会議が終わるのもそこそこに、新幹線に飛び乗った。行き先は熱海。切符を買わず、国会議員用の無料パスで改札を抜けた。待ち合わせの相手は既婚女性…。本人も認めた事実を「週刊新潮」が「懺悔(ざんげ)録」として報じた

 JRのパスといえば百十一年前の明治時代に始まり、民営化の後も残る。「議員の特権」のにおいがぷんぷんする。しかもそれを密会に使うなど、国民の感覚とまるでずれている。さすがに副長官は辞表を出さざるを得なかった

 茂太さんにとっては、列車は移動の手段であるとともに「瞑想(めいそう)室であり、時にはざんげ室」でもあったという。自分を見つめるための貴重な空間だったのだろう。元副長官にそうしたことを期待するのは、無理だったか。ざんげした時は遅かった。

 天風録 中国新聞 2009年5月15日
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2009年05月15日

「双頭体制」退いた後も最高権力者であることを誇示・・・ 天風録 八葉蓮華

 ロシアのプーチン首相は、銃の腕もなかなからしい。極東の自然保護区を視察中の昨年八月末、トラがわなから逃げ出しテレビクルーに襲いかかろうとした。一同が凍り付く中、首相はすばやく麻酔銃で眠らせたという

 できすぎた話のようだが、沈着で果敢なリーダーのイメージがメディアで流された。「メドベージェフ大統領はその時、心底身震いしたに違いない」。ロシア政治に詳しい中村逸郎筑波大教授が「ロシアはどこに行くのか」(講談社現代新書)に書いている

 脇役に甘んじていた大統領が、グルジア侵攻で国民に存在感を示していたころである。それを見て、自分の座を脅かすのは許さないとばかり、首相が「トラ退治」劇の形で警告したのでは…。そんな深読みさえ出てくるのが「双頭体制」での神経戦かもしれない

 プーチン首相は五十人の報道陣を率いて来日し、大統領を退いた後も最高権力者であることを誇示した。さて民主党の小沢一郎氏はどうなのだろう。代表辞任を表明してからは、吹っ切れたように強気の発言が目立つ

 小沢氏の周辺では「総・代分離」がささやかれているそうだ。選挙で政権交代を果たした後、総理と分離した代表に返り咲くのだという。こちらの双頭構想からは、有権者を化かす趣すら漂う。

 天風録 中国新聞 2009年5月14日
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2009年05月14日

安くて風土にも合った「伝統食」わが家の手作りの味・・・ 天風録 八葉蓮華

 ヨーグルトが日本で作られるようになったのは大正時代。実家が牧場を営んでいた芥川龍之介が、当時のバルカン戦争を引き合いに宣伝コピーを書いている。「ブルガリア兵が勇敢なのはヨーグルトのおかげ」

 勇敢になったかどうかは知らないが、乳酸菌が腸の中の悪玉菌を抑える、という作用はあるらしい。その後、広島のメーカーが国内初の工場生産を始める。全国的なブームのきっかけとなったのは大阪万博。ブルガリア館で出された試食品が人気を呼んだという

 ところが本家のブルガリアでは伸び悩んだ。社会主義体制が終わり、ファストフードが都会になだれ込む。「食のグローバリゼーション」が揺さぶるのは、自家製ヨーグルトを軸とする伝統的な食生活。それに合わせたように肥満の人が増えてきた

 幸か不幸か、この経済危機で「ヨーグルト回帰」の流れが生まれているそうだ。素焼きのつぼに牛乳を入れて発酵させる。昔ながらのやり方だ。少しでも倹約しようと考えたら、そこに安くて風土にも合った伝統食があった、ということだろう

 まさしくスローフード。私たちも、周りを見渡せばまだまだ忘れたものがあるかもしれない。そういえば「手前みそ」はもともと、わが家の手作りの味を自慢する言葉だったが…。

 天風録 中国新聞 2009年5月13日
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2009年05月13日

「政治改革」変わらずに残るためには、変わらなければならない・・・ 天風録 八葉蓮華

 十九世紀のイタリア貴族の没落を描いた映画「山猫」に、こんなせりふがある。「変わらずに残るためには、変わらなければならない」。民主党の小沢一郎代表が、好んで使っている

 三年前に代表になってから「変わろう」とする努力は、ありありと見えた。無愛想でこわもて、剛腕、壊し屋―というイメージを変えるために、記者団には丁寧な受け答えをし、時にぎこちない笑顔を浮かべる。痛々しくもあった

 そこまでするのは、宿願の政権交代を実現するため。麻生太郎首相の不人気もあって、この春には、もう少しで手が届きそうなところまできていた。そこに西松献金事件。「何だ、体質は自民党時代と変わっていないじゃないか」と、世論に見放されてしまった

 目指したのは政治改革。それを実現するためのカネ集め、のつもりだっただろう。誰よりもその手法に精通している、という自信が裏目になってしまった。党内からわき起こった「代表を代わってほしい」の声。耐える力はもうなかった

 「事件」後も続投したのは、党の結束を守るため。今度は同じ理由で辞めることになった。かつて在籍した自民党竹下派は「一致団結箱弁当」で知られた。ただ結束も度が過ぎると、民主党本来の持ち味がかすんでしまいかねない。

 天風録 中国新聞 2009年5月12日
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2009年05月12日

百歳まで「放浪記」何事も手を抜いた瞬間から坂道を転げ始めます・・・ 天風録 八葉蓮華

 上京して恋に破れ、職を転々とする暮らしに疲れた。身も心もぼろぼろになって帰郷した林芙美子役の森光子さん(89)が、情感を込めて口ずさむ。「尾道はこだまの町なり 山が呼び海が答える」。演じ続ける「放浪記」がついに上演二千回に達した

 人間の弱さ、ずるさも描く。だからこそ、自らの半生も重ね合わせ舞台に立ち続けてきたという。初演から四十八年で、芙美子といえば今や森さん。二人のイメージも、こだまのように響き合う

 貧しさをばねに小説家の夢をかなえた芙美子。森さんも芸歴は長いが、なかなか主役になれなかった。演劇界の大御所、菊田一夫から一度はこう言われる。「やっぱり脇役だな。越路吹雪のようにグラマーでもないし、宮城まり子のような個性もない」

 それが負けん気に火を付けた。芸をさらに磨き、放浪記の主役に抜てきされる。「何事も手を抜いた瞬間から坂道を転げ始めます」。著書の言葉通り今も努力を欠かさない。足腰を鍛えるスクワットは毎日百五十回。一連の公演が終わると、せりふを忘れ、新鮮な気持ちで覚え直す

 演技はなお進化している。常に坂を上ろうとする気概が支えなのか。「百歳までできれば幸せ」とも。まんざら不可能とは思えない不思議な力を感じさせる人である。

 天風録 中国新聞 2009年5月11日
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